2026年2月3日(火)に2025年度「東京ビジネスデザインアワード」の提案最終審査会が開催されました。本アワードは、都内の中小企業が持つ独自の技術や素材を生かして、デザイナーが新規用途開発とビジネス全体のデザインを提案、最終的に製品・サービスの実現化を目指すコンペティションです。
会場には、127件の応募の中から審査を経てマッチングが成立した8組の企業とデザイナーが集まり提案最終審査会に臨みました。7名の審査委員による厳正な審査を経て、初めに優秀賞2件が発表されました。

一つ目は、日進精機株式会社(大田区)とデザインエンジニアの三谷悠人氏、デザイナーの鍋田知希氏による、生分解性バイオマス樹脂PLAと精密金型技術を使用したルアーブランド「PLureA」の提案です。釣り好きの社員が部門を越えて協力し合うなど、熱量も評価の決め手となりました。

審査委員の宮崎晃吉氏は、「最初は『釣り具というニッチな領域で大丈夫か』と思いましたが、この挑戦によって社内が一丸となり、点から面へと可能性が広がっていくエポックメイキングな製品になり得るのでは」と、一つの製品が会社全体の未来を変えていく力を高く評価しました。

2つ目は、株式会社サルトル(新宿区)とディレクターの平野北斗氏、プロダクトデザイナーの柳沢駿氏、アートディレクターの明里圭修氏による、加工技術のブランディングです。何でも作れるがゆえに技術の高さが伝わりにくいという悩みを受け、下請け構造から脱却してアイデアの起点となるスタジオへと転換させる事業モデルを提示しました。

平野氏は、「直前までずっと一緒に制作し、くじけそうになる中でも伴走し駆け抜けてくれた仲間に感謝の気持ちを伝えたいです」とお礼の言葉を述べました。

最優秀賞に輝いたのは、昭和印刷株式会社(江戸川区)とデザイナーの榎本清孝氏による「体験をコレクションするサービスの開発とブランド展開」です。同社が持つ個別化された情報を正確・安全に届けられる印字システムとフィルム圧着書面の技術を活かした、体験をコレクションするサービスを提案しました。
同サービスでは、学校のイベントやペットの写真などのデータを、特別なデザインの圧着はがきにして届けます。デジタルで流されがちな思い出を、あえて物理的に手元に残す魅力と、郵便が届くワクワク感が融合したデザインが、審査委員の強い支持を集めました。

審査委員の谷口氏は「ペットを預けている間に、自分が見られない表情をこうして写真で送ってもらえたら、たまらなく嬉しい。一人のユーザーとして想像しても、非常に素敵な体験デザインだと感じました」と講評しました。

受賞した榎本氏は、「マッチングが成立して初めて昭和印刷の皆さんと顔合わせをした時、田村社長から『このテーマを選んでくれてありがとう』と握手を求められたんです。その瞬間に、この人たちと一緒に、絶対に良いものを作りたいと確信しました。この賞を糧に、しっかりと社会に届けていきたいです」と喜びを語りました。

それに応えるように、昭和印刷の田村社長は、「この最優秀賞という結果を持って帰って、社員みんなに『君たちの技術が認められたんだぞ』と胸を張って伝えたいです」と語り、仲間への愛と誇りに満ちたその姿に、会場から温かい拍手が沸き起こりました。

最後に、審査委員長の秋山かおり氏が「上手くいかないことがあっても、お互いを尊重し合うことが大切。そういう場を提供できる東京ビジネスデザインアワードは、これからも継続していってほしいと心から思います。」と総括し、最終審査会を締めくくりました。
編集部 野島
2025年度「東京ビジネスデザインアワード」提案最終審査会・表彰式
会場:東京ミッドタウン・カンファレンス (東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー4F)
主催:東京都
企画:公益財団法人日本デザイン振興会
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://design-award.metro.tokyo.lg.jp/award.html
