森美術館で2026年3月29日(日)まで、「六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠」が開催中です。3年に一度、日本の現代アートシーンを総覧する定点観測的な展覧会として行われてきたシリーズ展で、今回で8回目となります。

本展では、森美術館のキュレーターに加えて国際的に活躍するアジアのゲストキュレーター2名を迎えます。紹介されている21組のアーティストたちには、「時間」をテーマに、国籍を問わず日本で活動、もしくは日本にルーツがあり海外で活動しているという共通点があります。

最初の展示室は、アーティストの個人的な経験と普遍的な事柄の関係性を探求する作品が中心です。彫刻や絵画など、さまざまな表現から多様な時間の在り方が感じられます。

村上あずさ氏とアレキサンダー・グローブス氏によるユニットA.A.Murakamiは、大型インスタレーション《水中の月》を出展。樹木のような彫刻から放たれた白いシャボン玉が黒い水面の上を跳ねていき、やがて弾けて消えてしまう幻想的な作品となっています。

生と死、時間と存在といったテーマを探求してきた和田礼治郎氏による新作《MITTAG》は、東京の景色を一望できる、この展示室のために作られました。ブランデーの水面が、ちょうど地平線と重なるよう構成されています。

北澤潤による《フラジャイル・ギフト・ファクトリー》は、歴史的な出来事を起点とした作品です。第二次世界大戦中、日本軍によるジャワ島への侵攻で投入された「隼」という戦闘機が、後に旧宗主国オランダからの独立戦争において、インドネシア側によって活用されたという史実からインスピレーションを得ています。

山形県長井市を拠点に活動するアーティスト・コレクティブ、アメフラシは印刷工場を改築した「こしゃう」(山形の方言で「つくる」の意)の木材や構造体を再利用したインスタレーションを出展。壁の文字は一見外国語のようですが、よく見ると日本語であることがわかります。
アーティスト・俳優の遠藤麻衣氏とキュレーターの丸山美佳氏によるMultiple Spiritsは、クィア・フェミニズム系アートZINEの出版を中心に活動しています。本展では、イギリス19世紀に起源を持つ「新女性」の思想とそのアジア圏への広がりを切り口に、大正時代のフェミニズムに対する新たな解釈を提示しています。

岸川のぞむ氏と岡本和喜氏によるユニット、ズガ・コーサクとクリ・エイトは六本木駅の出口を段ボールなどで制作。地面には、実際に街に落ちていたゴミが配置されています。

マレーシアのムアールと日本の広島県尾道市を10年以上行き来しているシュシ・スライマン氏の《瓦ランドスカップ》は、1,500枚以上の瓦とマレー語の詩で構成されています。この瓦は、尾道の廃屋の屋根瓦を用いており、アートを通して空き家・廃屋問題について、見る者に問いかけています。
抽象的な「時間」というテーマについて、多角的な解釈を促す本展。忙しい日常から離れ、多様な時間の在り方と向き合う機会となるはずです。体験型・参加型の鑑賞体験も用意されているので、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
編集部 齊藤
「六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠」
会期:2025年12月3日(水)~2026年3月29日(日)
※会期中無休
開館時間:10:00~22:00
※火曜日のみ17:00まで
※最終入館は閉館時間の30分前まで
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
主催:森美術館
協賛:アンソロピック、株式会社大林組、三洋貿易株式会社、公益財団法人現代芸術振興財団
制作協力:SCAI THE BATHHOUSE、Lisson Gallery、MISAKO & ROSEN
企画:レオナルド・バルトロメウス(山口情報芸術センター[YCAM]キュレーター)、キム・へジュ(シンガポール美術館シニア・キュレーター)、德山拓一(森美術館シニア・キュレーター)、矢作学(森美術館アソシエイト・キュレーター)
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.mori.art.museum/jp/index.html
