2025年12月20日(土)、東京ミッドタウン・ホールBにて「2025年度グッドデザイン・ニューホープ賞 最終審査会」が開催されました。将来のデザイン分野を担う学生や若手クリエイターを対象とした本賞は、今年で4回目の開催。「出会いたい。これからの世界をつくる 新しい才能たちと。」をテーマに、多彩なデザインが集まりました。

最終審査会では、全国から寄せられた668件の応募の中から、審査を経て選ばれた優秀賞を受賞したファイナリスト8組による公開プレゼンテーションが行われました。人工内耳を装着しているこども向けの楽器や、狩猟現場の負担を軽減する運搬機、子どもの落書きを学習につなげるアプリなど、どれも魅力的なものばかりでした。
それぞれ5分間の持ち時間の中で、発表者たちは開発の背景や実現したい未来などをプレゼンテーションしました。発表後の質疑応答では、審査委員から鋭い洞察と温かい励ましを込めた質問が飛び、会場は次世代のデザイナーに対する期待感に包まれました。

審査副委員長の倉本仁氏は、レベルの高さについて「作者が最初に何を思い、どのような問いを立てるかはデザインの起点として極めて重要。それぞれの多様な切り口は、見ていて非常に清々しいものでした」と称えました。

栄えある最優秀賞に選ばれたのは、仕組みのデザイン部門の「天体音測会」(佐野風史さん:慶應義塾大学大学院/藤本未来さん:東京科学大学大学院)です。「天体音測会」は、光害により星の見えない都市部において、星を視覚ではなく聴覚で捉えることで宇宙とのつながりを取り戻すプロジェクト。ヘッドホンのトラッキング技術を活用し、体験者が向いた方角にある星のデータをリアルタイムで音に変換。情報を提示するだけでなく、自ら星を探すという能動的な観測体験をデザインしました。

視覚に障害のある方々など、多様な人々と協働しながら検証を重ね、星の温度を音程、明るさを音量で表すなど、直感的に天体を識別できる仕組みを確立。都市部でのイベント開催や小学校の教育プログラムでの実践を通じて、見えないはずの星を感じる体験を生み出しました。
佐野さんによると、ある体験者から「普段は生活のために『情報』として捉えている音が、この体験では『純粋な楽しさ』として響いた」という感想が寄せられたといいます。審査委員の飯石藍氏は、バリアフリーに留まらないその本質的な着眼点を絶賛しました。

受賞した佐野さんは「目に見えないものにフォーカスした提案が評価されて嬉しいです。分野を横断し、この取り組みを広げていきたいです」と語り、藤本さんも「これからもこの活動を続けていきたいです」と意欲を見せました。

最後に、審査委員長の齋藤精一氏は「実際に社会へ物作りを届けている大人たちにとっても、皆さんの挑戦は大きな刺激になります。デザインが持つ自由な力を改めて感じさせてくれました」と、若き才能たちの挑戦を称え、最終審査会を締めくくりました。
編集部 野島
「2025年度グッドデザイン・ニューホープ賞 最終審査会」
会場:東京ミッドタウン・ホールB(東京都港区赤坂9丁目7-2)
主催:公益財団法人日本デザイン振興会
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://newhope.g-mark.org/
