11月4日(火)、東京ガーデンシアターにて「2025年度グッドデザイン賞 受賞祝賀会」が開催。今年度は「はじめの一歩からひろがるデザイン」がテーマとして掲げられ、会場には受賞された企業・団体の関係者たちが集結しました。

祝賀会では、特に優れたデザインであるグッドデザイン金賞受賞作の中から、11月1日~3日に東京ミッドタウンで開催された受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION 2025」の来場者による一般投票で選出される「みんなの選んだグッドデザイン」を発表しました。最多票を獲得したのは、株式会社豊島屋の「鳩サブレー 1枚入缶セット」でした。

「メディア・コンテンツ」ユニットリーダーの森内大輔氏は「通常は大きな缶に入っている鳩サブレーを一枚ずつ持ち歩けるようにした、ユニークで可愛らしい作品。鎌倉への地域愛と、鳩を何とか割らずに届けたいという"鳩愛"を感じる、優しいプロダクトですね」と評価しました。
そして、5,225件の応募の中から大賞に選ばれたのは、DLT木造仮設住宅(坂茂建築設計 / 株式会社家元 / 株式会社長谷川萬治商店)です。

2024年1月に発生した能登半島地震における仮設住宅建設で、現地の深刻な職人不足の問題に加え、従来の仮設住宅が数年で解体されてしまう「もったいない」という課題にフォーカスしたプロジェクトです。
大きな設備投資を必要としないDLT(Dowel Laminated Timber)工法を採用。一般的に流通する製材に穴を開け、木製のダボを打ち込むだけで強固なパネルを製造でき、現場での簡易な組み立てを可能にしました。さらに、一般的な住宅と同じ仕様で建設することで、法的な課題をクリアし、解体せずに恒久的に利用できるようになりました。さらに、解体される家屋から地域の大切な財産である能登瓦を救出し、集会所の屋根に再利用するなど、地域の景観保全も配慮しています。

審査を担当した「建築(戸建て住宅~小規模集合・共同住宅)」カテゴリのユニットリーダーである原田真宏氏は「デザインというと、豪華で費用がかかるというイメージを持たれがちですが、そうではなく、困っている人の役に立つものだということを示してくれました」と高く評価しました。
坂茂建築設計の原野泰典氏は「まさか大賞をいただけるとは全く思っていませんでした。大変感謝申し上げます」と驚きと感謝を述べ、石川県で施工を担当した株式会社家元の羽田和政氏は「大賞を頂けたことは、石川県にとっても明るいニュースになると思います。この工法を復興住宅にも活かしていきたいです」と、被災地への想いを語りました。

最後に、審査委員長の齋藤精一氏は「今はデザインが時代を引っ張っていかないといけない時代です。今回のプロジェクトは、これからデザイナーが持つべき一つの指針を示してくれました」と、デザインの社会的な役割を強調し、祝賀会を締めくくりました。

2025年度グッドデザイン賞受賞作品に関する詳しい情報は、公式WEBサイト( https://www.g-mark.org/gallery/winners)で閲覧可能です。こちらも併せてご確認ください。
編集部 野島
