麻布台ヒルズ ギャラリーにて、9月15日(月・祝)まで「高畑勲展─日本のアニメーションを作った男。」が開催中です。
高畑勲氏の生誕90年、そして太平洋戦争の終戦から80年が経過することを受けて開催する本展。『火垂るの墓』『平成狸合戦ぽんぽこ』『アルプスの少女ハイジ』のセル画・背景画が初公開されるなど、貴重な機会となっています。
開催に先立って行われたオープニングセレモニーでは、スペシャルゲストの太田光氏(爆笑問題)とスペシャルサポーターの岩井俊二監督が登壇しました。岩井監督は、高畑氏の遠縁にあたるそうで、大学時代に激励されたエピソードを明かしました。
「chapter 1 出発点―アニメーション映画への情熱」では、『安寿と厨子王丸』や『狼少年ケン』、『太陽の王子 ホルスの大冒険』など、東映動画(現・東映アニメーション株式会社)に入社した新人時代の絵コンテを展示。当時の制作プロセスも紹介されています。
退社後は、『アルプスの少女ハイジ』『母をたずねて三千里』『赤毛のアン』と、テレビの名作シリーズで新境地を切り開いていきます。そこをフォーカスするのが「chapter 2 出発点―アニメーション映画への情熱」です。
特に注目したいのが『アルプスの少女ハイジ』のセル画。アルプスの雄大な大自然が鮮やかに描き出されています。ロケハンの映像はモニターで上映されているので、ぜひ見比べてみてください。
「chapter 3 日本文化への眼差し―過去と現在との対話」からは、日本の現代史に注目した1980~1990年代の作品群を振り返ります。高畑氏直筆の原画や絵コンテのほか、かつて『火垂るの墓』に原画スタッフとして参加した庵野秀明氏による重巡洋艦摩耶のハーモニーセルが初公開されています。
『平成狸合戦ぽんぽこ』の百瀬義行氏と大塚伸治氏による大量のイメージボードが並ぶさまは壮観。映像的な百瀬氏とマンガ風の大塚氏の違いが興味深いです。
最後の「chapter 4 スケッチの躍動―新たなアニメーションへの挑戦」では、『ホーホケキョ となりの山田くん』と『かぐや姫の物語』から、手書きの線を生かしたアニメーション表現に迫ります。
会場併設の「高畑勲展 特設グッズショップ」では、展覧会オリジナル商品を中心に展開されています。中には、『パンダコパンダ』に登場するパパンダに飛びつけるフォトスポットも! 天井にカメラがあり、撮影したデータをダウンロードできます。
コラボカフェ「喫茶 高畑勲展」では、本展で紹介された作品にインスパイアされたメニューを楽しめます。
アニメーション制作の歴史と裏側を存分に楽しめる本展。デジタル化が進んだ今だからこそ、セルアニメーションの魅力を再発見してみてはいかがでしょうか?
編集部 齊藤
「高畑勲展─日本のアニメーションを作った男。」
会期:2025年6月27日(金)~9月15日(月・祝)
開館時間:10:00~20:00(最終入館19:30)
会場:麻布台ヒルズ ギャラリー
主催:麻布台ヒルズ ギャラリー、NHK、NHKプロモーション
企画協力:スタジオジブリ
協力:(公財)徳間記念アニメーション文化財団
協賛:ア・ファクトリー
後援:レッツエンジョイ東京、TOKYO MX、在日スイス大使館
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.azabudai-hills.com/azabudaihillsgallery/sp/isaotakahata-ex/