東京ミッドタウン・デザインハブでは、6月21日(土)まで、第114回企画展「ゼミ展2025 デザインの学び方を知る」を開催中です。
2018年より開催されている本展は、社会の中で今どのようなデザイン/デザイナーが必要とされているのか、これからデザインの最前線に出ていく学生たちがどのように課題に向き合っているのかを紹介する企画展となっています。今年は、デザイン教育における国際交流にも注目。日本と海外のゼミによる共同課題、海外の教育機関による滞在制作を含めた8組11校が参加しました。
千葉大学工学部デザインコースとアメリカのシンシナティ大学DAAPが共同で実施したのは、工業デザインとグラフィックを統合したパッケージデザインの開発。フェイスマスク、クラッカー、シリアル、ダンボール、納豆、ピザといった6種類の商品パッケージが抱える課題に対し、ユーザーが使いやすい新たなデザインを提案しています。
どれも商品化を期待してしまうほど便利なものばかり。なかでも目を引いたのは、「持続可能性」という観点からリデザインしたフェイスマスクの詰め替え用パッケージ。サランラップのようにシートを1枚ずつ取り出しやすくなりました。これにより、フェイスマスクを広げにくいという課題を解決しながら、何度でもパッケージを使用できるようになりました。
多摩美術大学は、アメリカのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインと2006年から実施している国際協働教育プロジェクト「Pacific Rim」を開催。今年は「Healing Light-癒しの光」と題し、精神的負荷が加速する現代において、照明がどのように身体的健康と精神的幸福をサポートするのかを探りました。
ブースでは8種類の光のデザインを紹介。家族を結びつけるランプ《原点 Origin》や、こまの回転からインスピレーションを受けた照明《ゆらめく光》、光をつたう雨の形が絶えず変化し続けることで永遠を表現した《流れ 揺れ》など、見ているだけで癒される美しい作品が並びます。
まだデザインとして一般化していないモノ/コト/トキを発見して根付かせることを目指す長岡造形大学の「地域共創演習」では、ありえるかもしれない/自分たちにとって望ましいサインデザインを考案。8人の学生がフィールドリサーチを行い、コミュニケーションや安らぎを生み出すサインをデザインしています。
その一つが、雨宿りの場を知らせ、気づきと交流を促すシシオドシ型オープンサイン《アマヤドシ》。急な雨でも「安心して雨宿りができる場所」を示すサインとして制作され、シシオドシのように溜まった雨水によって装置が傾くと鈴の音が鳴り響きます。この音に誘われて集まった人々との交流や、ふとした景色に目を向けられるようにとの思いが込められているそうです。
学生たちが今、どのようなことを考えているのかが、展示を通して垣間見える本展。1校に対し、複数の作品が展示されているため、共感を呼ぶデザインもきっとみつかることでしょう。デザインの先端を学ぶ学生たちのアイデアを、ぜひ覗いてみてはいかがでしょうか。
編集部 福島
東京ミッドタウン・デザインハブ第114回企画展「ゼミ展2025 デザインの学び方を知る」
会期:2025年5月19日(月)〜6月21日(土)
開館時間:11:00~19:00
会期中無休・入場無料
※最終日16:00まで
会場:東京ミッドタウン・デザインハブ(ミッドタウン・タワー5F)
主催:東京ミッドタウン・デザインハブ(構成機関:公益財団法人日本デザイン振興会、公益社団法人日本グラフィックデザイン協会、多摩美術大学TUB)
アートディレクション・グラフィックデザイン:廣村正彰(廣村デザイン事務所)
会場デザイン:原田圭(DO.DO.)
出展校(50音順):ArtCenter・多摩美術大学 Pacific Rim Project、千葉大学 工学部総合工学科デザインコース 実践デザイン演習B・シンシナティ大学 DAAP Integrated Packaging Design Studio、東京都市大学 デザイン・データ科学部 デザイン・データ科学科、長岡造形大学 地域協創演習:未開のデザイン、名古屋造形大学 大学院造形研究科 メディアデザイン研究合同ゼミ、武蔵野美術大学・バンドン工科大学 協定校プロジェクト、モナッシュ大学 アート・デザイン&アーキテクチャ、早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡邊大志研究室
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.designhub.jp/exhibitions/seminars2025