国立新美術館では5月25日(日)まで、「DESIGN MUSEUM JAPAN展2025~集めてつなごう 日本のデザイン~」が開催されています。
NHKで放送されてきた「デザインミュージアムジャパン」と連携し、日本全体にひとつの〈デザインミュージアム〉を浮かび上がらせようとする本展。昨年までの取り組みに引き続き、今年は菊地敦己、宮永愛子、塚本由晴、五十嵐久枝、菱川勢一、深澤直人、宮前義之、佐藤卓の8氏が探した〈デザインの宝物〉を紹介しています。
5月15日(金)には、NHKエデュケーショナル・倉森京子氏の進行で企画説明を開催。宮永氏、五十嵐氏、深澤氏、宮前氏と並び、本展のコーディネーターを務める、野見山桜氏、田根剛氏、岡本健氏も参加しました。
野見山氏からは、「例年と比べて今年の<デザインの宝物>は概念的なものが多く、どのように展示を行うべきか苦労した」と明かされ、制作チーム一体となってアイデアを絞った展示造形に注目してほしいとのことです。
展示は一つの<デザインの宝物>に対し、6つのボックスで構成。どんな<デザインの宝物>を見つけたのか、その背景やクリエーターの言葉、ドキュメンタリー映像までが散りばめられています。
インテリアデザイナーの五十嵐氏は、大阪府のガラス職人たちによる「魔法瓶」のデザインに注目。もともと魔法瓶の中を覗いた際に、キラキラと輝く様が好きだったと言う五十嵐氏。魔法瓶の保温・保冷を支える外瓶と内瓶の二層構造から、規模の縮小を受けてなおレガシーを引き継ぐガラス製品の工場やメーカーについて解説しています。
プロダクトデザイナーの深澤氏は、島根県の「石州瓦」が生み出す町の雰囲気を紹介。日本では銀鼠色の瓦が多いなか、艶々と光る赤茶色の瓦に土地の団結を感じたそうです。島根県の雪深い山間部で耐えられる頑丈な設計や、釉薬由来の象徴的な色味が並ぶ町の景観を取り上げました。
ISSEY MIYAKE(イッセイミヤケ)のデザイナーとして知られる宮前氏が感銘を受けたのは、300年続く高知県の「街路市」で繰り広げられるコミュニケーションのデザイン。生産者と消費者が直接言葉を交わし合う様子を、吹き出しパネルや現地音声とともに展示します。人とモノを心地よく繋ぐ姿を見た宮前氏は、「デザインを作りっぱなしにしてはいけない」と改めて考えさせられたとのこと。
人口当たりの数が日本一だという宮崎県の「スナック」に焦点を当てたのは、佐藤氏。通称「ニシタチ」と呼ばれる歓楽街で、お店を構えるスナックの看板を集めました。なかには、「佐藤氏がスナックの看板をデザインしたら...」というお題でデザインされた看板も。店主に親しみを持ちやすい雰囲気がふんだんに香る、スナックならではの魅力が見えてくるでしょう。
さらに、本展では《集めてつなごう!日本の<デザインの宝物>》と題して、来場者自身が<デザインの宝物>だと思うものを紙に書き、日本地図にピンで刺していく参加型の展示も設置。各クリエーターの例を参考にしながら、あなたにとっての<デザインの宝物>を考えてみてはいかがでしょうか。
編集部 福島
「DESIGN MUSEUM JAPAN展2025~集めてつなごう 日本のデザイン~」
会期:2025年5月15日(木)~5月25日(日)
会場:国立新美術館 3階 展示室 3B
開館時間:10:00~18:00(金曜日は20:00まで)
※入場は閉館の30分前まで
観覧料:無料
主催:NHKプロモーション、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁
共催:NHKエデュケーショナル
協力:一般社団法人 Design-DESIGN MUSEUM
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://design-museum-japan.jp/