現在東京ミッドタウンでは、「デザインを五感で楽しむ」をコンセプトにしたデザインの祭典「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2021」が開催されています。今年のキーワードは「デザインの裏- Behind the Scenes of Design -」。完成された商品やサービスのデザインでなく、そこに至るまでのデザイナーの思考や制作プロセスを探っていきます。
芝生広場には、豊田啓介らによる建築・デザイン事務所noiz(ノイズ)の3つの大きなインスタレーション≪unnamed≫が登場。「視点を変えて見るデザイン」という副題が付いているとおり、一見ランダムに積み重ねられた集合体を、様々な角度や方向から見ることで、新たな発見に気づかされる作品です。
豊田氏は「何が結果や正解、価値なのかは受け取り手次第。デザインが形になって固まる前の、あいまいな状態を体験していただきたいです」とコメント。10月20日(水)に公開したクリエイターインタビューでは、本祭を舞台に、よりその思考プロセスに迫った記事を掲載中です。あわせてご覧ください。
芝生広場から、現在「ルール?展」が開催中の21_21 DESIGN SIGHT方向へ歩を進めると、途中に何やら巨大なホースのようなものが。こちらは、「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2021」との同時開催となる、東京ミッドタウンとアルスエレクトロニカの協働プロジェクト「未来の学校」の展示の一つ。ベルギーのビジュアルアーティストであるイーフ・スピンセマイユによる≪Rope≫という作品。長さ12m、直径30cmの手作りのロープに座ったり、遊んだり、運んだり・・・。人と想像力を結ぶだけでなく、人と人とを結ぶシンプルで移動可能なソーシャルスペースです。
10月30日(土)と11月3日(水・祝)には、集まった仲間と共にこの≪Rope≫を持って東京ミッドタウン各所を歩き回るワークショップも実施されます。申し込みについては公式サイトをご覧ください。
≪Rope≫があるエリアには、体験者がウェブサイトにアクセスし、マイクに向かって息を吹きかけることで、オンラインから現地にシャボン玉を飛ばすことができる≪Air on Air≫も設置されています。こちらも「未来の学校」のコンテンツ。
開催初日には、制作チームの一人である筧康明氏によって、実演が行われました。サイトにアクセスして携帯のマイクに息を吹きかけると、隣の≪Air on Air≫から、きれいなシャボン玉がいくつも飛び出します。空へと舞うシャボン玉は撮影・配信され、体験者は画面を通して一人称視点で眺めることができるので、現地に足を運べない方もぜひ試してみてください。
ミッドタウン・ガーデン内には、まだまだたくさんの作品が出現します。日本語やアルファベットなどの文字を解体し、組合せ、再構築することによって、新しい文字の概念を探る、実験的タイポグラフィ集団「大日本タイポ組合」による≪ウラファベット≫は、見つけた瞬間の「ひらめき」を体験できる作品。このカラフルなフラッグの中には、様々なアルファベットが隠されています。どの文字が隠されているのかは、フラッグの裏に載っているので、表と裏を見比べながら、ぜひ形の面白さを感じてみてください。
館内にすすむと、まず目に留まるのはアトリウムでの展示。最新の3Dプリンタによって形づくられた数々の「窓」が並びます。建築家アントニ・ガウディの窓に学び、自然環境と呼応するさまざまな機能や素材、造形をもった、未来の窓のプロトタイプデザインをアルミ建材メーカー・YKK APと鈴木啓太(PRODUCT DESIGN CENTER)が提案。そのほか隈研吾、クライン・ダイサム・アーキテクツをはじめ、国や業種のジャンルを超えた注目のクリエイターや専門家たちともコラボレーションが行われています。
写真はその1つである≪太陽と月の窓≫。窓の中心に回転軸がデザインされ、地球儀のように窓を自由な角度に動かすことができます。 窓の透過部は、太陽光に反応して色が変化するため、訪れるたびにその違いを楽しむこともできます。このほかにも音や風を感じる個性的な窓が展示されていました。
プラザB1F メトロアベニューでは、次世代を担うクリエイターを発掘・応援する「TOKYO MIDTOWN AWARD」の展示が。デザインコンペ、アートコンペへの総計1,366点の応募作品の中から選ばれた、本年度の受賞作品16作品をチェックできます。一般の方が自分のお気に入りの作品に投票できる「オーディエンス賞」も実施中。作品へのコメントは、クリエイターにも届くので、若手作家への応援の気持ちを言葉にしてみては?(TOKYO MIDTOWN AWARD公式サイトからオンラインでも投票可能です)
本レポートで紹介した以外にも、多彩なデザイナーの視点からデザインを楽しむ展示が盛りだくさん。公式サイトでは、さまざまな場所で開催されるイベントを、くまなく見逃さずにめぐることができるルートを紹介するツアー動画も配信中です。その他、トーク動画なども順次公開されますので、あわせてご覧ください。
編集部 高橋
Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2021
会場:東京ミッドタウン各所
会期:2021年10月15日(金)~ 11月3日(水・祝)
観覧料:無料
公式サイトで詳細を見る(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.tokyo-midtown.com/jp/event/designtouch/