六本木エリアのギャラリーを編集部スタッフの目線で紹介する「六本木ギャラリー探訪」。今回ご紹介するのは、六本木ヒルズ近くの「GALLERY MoMo Projects」。開廊は10年以上前、六本木ヒルズや東京ミッドタウンの誕生以前から街の移り変わりを体感してきた、オーナーの杉田鐵男さんにお話をうかがいました。
杉田さんは、もともとはアートのコレクター。定年退職後に貸し画廊をやりたいと物件を探していたときに、現在の場所を見つけたそう。オープン時はまだ会社に勤めていたため家族でギャラリーを運営、現在は両国にオープンした2軒目を拠点に、息子さん、娘さんが中心になって切り盛りしています。
「コレクターだった頃、ギャラリストの小山登美夫さんと出会って、彼の元から村上隆や奈良美智が世界に飛び出して行く様子を見ていました。ギャラリーをオープンしたのは、私も若手アーティストをサポートしたいという思いがあったから。この世界は食べていくだけでも大変ですからね」
訪れた日は、美術家の尾花賢一さんの個展「In the night time」を開催中。尾花さんは「Tokyo Midtown Award 2015」のアートコンペで優秀賞を獲得した、まさに"期待の若手アーティスト"。覆面を被った人物の日常を描く作品をつくり続けている作家です。
杉田さんが尾花さんと出会ったのは、審査員を務めたコンペで賞に選定したことがきっかけ。
「80年代生まれの作家に注目しているんです。尾花さんや、ウチで個展をやった写真家の川島小鳥さんもそうですが、すごく窮屈な時代を生き抜いてきた、面白い世代だと思うんです。これからも継続して、どんどんステップアップしていってほしいですね」
「最近では、ニューヨークで開催されている『ヴォルタ(Volta)』」というアートフェアに参加したり、海外での取引も始めました。今、両国で個展をしている吉田晋之介さんの作品もヴォルタで人気でしたし、これから徐々に世界的な作家が育っていくといいなと思っています」
お話をうかがっている間にも、お客さんが次々に。学生さんの姿も見られるなど、幅広い層の人が訪れていました。
ギャラリーにはテラスも設けられていています。こちらでは所属作家の個展のほか、持ち込みの企画なども行われているそう。ギャラリー名が「Projects」となっているのは、形にとらわれずいい作家を紹介したいからなのだとか。
「GALLERY MoMo Projects」があるのは、複数のギャラリーが入っている「六本木ピラミデビル」の近く、蔦の絡まるビルの2階。
ギャラリー巡りをしているコレクターやバイヤーの目に触れることも多いので「六本木は作家が育つにはいい場所」と杉田さん。これから注目の作家に出会いたいという人に、ぜひ訪れてほしいギャラリーでした。
編集部 飯塚
information
「GALLERY MoMo Projects」
住所:東京都港区六本木6-2-6 サンビル第3 2F
TEL:03-3405-4339
開廊時間:12:00~19:00
休廊日:日曜、月曜、祝祭日
http://www.gallery-momo.com