六本木未来会議に登場してくれたクリエイターのみなさまが「クリエイションのスイッチを押してくれる一冊」として推薦してくれた本を毎週紹介していきます(紹介する本は2014年に開催した「森の学校」の図書室でも展示されていたものです)。
今回は、椿昇さんが選んだ、『ファンタジア』(ブルーノ・ムナーリ著、萱野有美訳/みすず書房)。
椿さんのコメント
大人になるに従って空想することや幻想を持つことは、無駄に時間を喰う邪魔者のように片隅に追いやられてゆきます。
代わってディズニーランドに代表されるお仕着せのエンターテイメントが、にっこりみなさんに微笑みます。そこでは現代のあらゆるテクノロジーを総動員して、ひとりひとりの心が素朴な夢を見る無駄を省いてくれるのです。豪華で目もくらむ幻想物語が貴方を幸福に導いてくれるのです。こうしてひとりひとりは夢を見る力を手放して、毎日イメージを消費するだけの粗末な箱になりはててゆきます。
ブルーノ・ムナーリの「ファンタジア」には、想像する力の取り戻し方がとてもユーモラスに描かれています。子供だけではなく、想像力を手放しなさいとささやかれている大人のみなさん、このちいさな本をポケットにコーヒーテラスで小さな時間を過ごしてみてください。
デザイナーであり、教育者でもあり絵本作家でもあるイタリアの美術家、ブルーノ・ムナーリによる、想像力を培うヒントがつまった本書。まさに現代の大人のみなさんに読んでいただきたい一冊です。
椿昇さんのインタビューもあわせてどうぞ。
クリエイターインタビュー #17
椿昇(現代美術家)
http://6mirai.tokyo-midtown.com/interview/17/
六本木未来会議 編集部