現在、アクシスギャラリーで開催中の「ゼラチンシルバーセッション」は、「銀塩写真」の魅力を伝えるプロジェクト。2006年にスタートしたこの展覧会も、もう8回目を迎えました。
今回は、中野正貴さんと本城直季さん、平間至さんと森本美絵さんなど、34名の写真家が2人一組となって、それぞれが決めたテーマで撮りおろした作品を展示しています。出展している写真家のひとり、広川智基さんにお話をうかがいました。
「僕は百々新さんと競作しました。百々さんと話し合って、普段なら見逃してしまうようなふとした瞬間も大事にしたい、そんな趣旨で『忘れたくないこと。』というテーマに決めました(右が広川さんの作品)。今回の撮影で使用したのは、17歳で写真を始めたときに手に触れたカメラと、ポジフィルムのセットなんです。その頃の気持ちを"忘れたくない"という意味も込めています」
「今回の展示はフィルムでしか表現できない写真の魅力を伝えるためのものですが、アナログかデジタルかの違いは、絵でいえば"どのペンを使って描くか"ということ。デジタルはドット、つまり四角の集まり、フィルムの粒子は丸い粒で、そこから受ける印象も違いますよね」
「僕はもちろんデジタルカメラも使いますし、インスタグラムもやっています。でも、インスタグラムのフィルターって、アナログの撮影方法がベースになっているんですよ。フィルムは今ものすごいスピードでなくなっていきつつありますが、フィルムならではの素晴らしい表現はしっかり残していきたいですね。ぜひ会場でオリジナルプリントの魅力を感じてほしいと思います」
「フィルム撮影で個人的にぐっとくるのは、現像するまで『何が映っているかわからない』こと。そのドキドキ感が楽しいし、想像を超える写真が撮れていたら感動します。それに実は便利な面もあって、寒冷地ではデジタルカメラだと電池がすぐなくなるので、インスタントカメラを持っていく登山家の方もいるんですよ」
「今回は特別招待作家としてマイケル・ケンナの作品も展示しています。このモノクロームの作品も、すべてフィルムで撮られたもの。水墨画のようできれいですよね。5月5日に本人のトークショーがありますから、ぜひお越しください。5月3日と7日には、展示終了後に写真家と会話を楽しめる『Photo_BAR』というイベントも開催するので、こちらもお楽しみに」
会場の一角では、お手頃な価格で作品が買えるかもしれない「サイレントオークション」が開催されていました。また、今回の展示作品は、マイケル・ケンナさんの作品も含めて購入が可能だそう(一部を除く)。
アクシスでは、各フォトギャラリーが掘り出し物の作品を持ち寄る「AXISフォトマルシェ」というイベントも6月11日から行うそうです(詳細はウェブサイトで)。気に入った作品があったら、ぜひ"作品を買う"ことにチャレンジしてみては?
編集部 飯塚
information
「ゼラチンシルバーセッション 2015」
会場:アクシスギャラリー
会期:4月25日(土)〜5月9日(土)11:00〜19:00
※ 5月5日(火・祝)はトークイベントのため、16:00まで
※ 5月3・7日は19:00〜22:00 「Photo_BAR」オープン(500円ワンドリンク付き)
※ 最終日は18:00まで
入場料:300円 ※学生無料
http://gss-film.com/exhibition/2015