六本木エリアのギャラリーを編集部スタッフの目線で紹介する「六本木ギャラリー探訪」。今回は、西麻布交差点近くのギャラリー「CALM & PUNK GALLERY」へ。1996年から刊行されているクリエイターの作品集『GAS BOOK』シリーズを手がける「GAS AS INTERFACE Co., Ltd.」が運営するギャラリーです。
お話をうかがったのは、スタッフの安部さん。ギャラリーの展示や『GAS BOOK』の制作、海外アーティストとの交渉、店舗の内装ディレクションからユニクロのTシャツの企画まで、国内外でさまざまなお仕事をされているそう。
「出発点は本ですが、今ではさまざまな種類のプロジェクトに携わらせてもらっています。その中で、ギャラリーは弊社がいまプレゼンテーションするべきと考える作家を紹介する場であり、クリエイター同士がつながるプラットフォームでもあると捉えています」
「たとえば先日展示を行ったジョナサン・ザワダも、個人的にも注目しているアーティスト。グラフの描く線を風景画に変換したペインティング作品など、コンセプトとビジュアルが両立した作品を生み出していて、展示も非常に印象的なものになりました」
「ちなみに、今年の夏にリリース予定の『GAS BOOK』も彼の作品集です。ギャラリーの展示と本の刊行は完全にリンクしているわけではありませんが、YouTubeにインタビューをアップするなど、多角的に作家を紹介するようにしています」
天井高を生かした会場はクリエイターにも好評だそう。抜けがあって明るい空間は居心地がよくて、つい長居してしまいました。訪れた日に開催されていたのは、アーティスト遠山敦さんの個展「時間の色彩」(5月3日まで)。
今回の遠山さんの作品は、時間の流れを色の積層で表現したもの。「CALM & PUNK」(冷静さとパンク)というギャラリー名からもインスピレーションを得た作品で、異なる性質のものが重なる状態に面白さを見出だして制作されたとのこと。
「この展示に限った話ではありませんが、事前情報なしで作品を鑑賞してから作品解説を読んでいただくといいかもしれません。ビジュアルを鑑賞したあとにコンセプトを知ると、作品を二度楽しめますから」
最後に、恒例の「六本木をデザイン&アートの街に......」と聞いてみると、こんなお話をしてくれました。
「アートやデザイン、日々の業務の中で多くのイメージを目にしますが、何かの作業中に『これいいなぁ』と心を奪われることがあります。そうすると、忙しくて前のめりになっていた気持ちがふと落ち着くんですよね。そんなことが日常的に起こる、それがデザイン&アートの街になるということなんじゃないでしょうか」
編集部 飯塚
information
「CALM & PUNK GALLERY」
住所:京都港区西麻布1-15-15 浅井ビル 1F
TEL:03-5775-0825
開廊時間:12:00~19:00
休廊日:月曜
http://gasbook.net/in/?cat=12