先週も編集部ブログで六本木ヒルズの10周年をお伝えいたしましたが、同じく森美術館も10周年となります。アニバーサリーを記念して開催されているLOVE展のプレス内覧会に先日お伺いしてきました。
これまでも沢山の話題の展覧会を実施されている森美術館。10周年の特別展ということで、入場する前から期待が高まります!
LOVE展は5つのセクションに分かれており、それぞれのテーマに合った愛にまつわる作品が展示されています。それでは早速、セクションごとに少しだけ内容をご紹介させていただきます。
1、 愛ってなに?
改めて聞かれると返答に困ってしまうような投げかけですね。一言で「愛」と言ってもさまざまな意味があると思います。恋人、家族、ペットや趣味、対象によって、様々な愛のかたちがありますよね。その愛という言葉を象徴化すると多くの人はハートマークやLOVEという文字を思い浮かべるのではないでしょうか?
そんな愛を象徴する記号や言葉を通じて、さまざまな愛のイメージを発信するのがこちらのセクション。
今回LOVE展で最も象徴的なジェフ・ク―ンズの立体作品《聖なるハート》1994年-2007年、が展示されています。バレンタインのチョコをイメージして作ったというこちらの作品は、何度もポスターやパンフレットで見ていたのにいざ目の前にすると迫力大!アート作品の力強さを感じました。言葉がなくても素晴らしさが伝わる、圧倒的な存在感です。
2、 恋するふたり
恋と愛の違いって何でしょうかね。恋する、と愛する、をどう定義するかによって、その人の価値観が浮き彫りになりそうな感じがしますね。ただ、言えるのは、恋愛には、時代や場所を超える普遍的な性質があるのではないでしょうか。こちらのセクションでは地域や文化を超えて大切なテーマである恋愛に焦点を当て、恋するふたりを取り巻く環境について考える作品が展示されています。
ひとりではできないのが恋。ロダンやシャガールなど、様々な作品を通じて、恋をするふたりがとてもリアルな形で表現されています。時代を越え、と先ほど申しましたが、「源氏物語」の絵巻(複写)も展示されています。千年前も恋する想いは変わらないのですね。
3、 愛を失うとき
愛の喜びと同じくらい、それを失った時の感情は激しく揺れ動きます。ここでは愛を失うことによる喪失感や後悔、執着、あきらめなどさまざまな人の感情がテーマです。
悲しさが伝わるものから、コミカルに表現したもの、また悲しみを克服する試みを作品にしたものなどユニークな作品が揃っています。なかでも一番面白かったのはアーデル・アービディーンの《愛を確実にする52の方法》2006年、という映像作品です。男性である作家が女性の心をつなぎ止める秘訣を真剣に語っている作品なのですがとにかく的を得ていて面白い。最近女心がわからないな、とお悩みの男性のみなさん、是非チェックしてみてください。
また、TANYの作品《昔の男に捧げる》2002年、に登場する会田誠さんも必見。なんでも会田さんはTANYさんの元彼なんだとか。こちらもとてもユニークです。
岡本太郎の作品《痛ましき腕》1936/1949年も展示されているのですがこちらは7/2までの公開となっておりますので、皆さまぜひお早めに。
4、 家族と愛
人が最初に出会う共同体である家族、そんな家族と愛に着目した第4セクション。子どもの頃から自然と感じている家族の愛はとても深いもの。どんな作品で表現されているのでしょうか。
家族みんなの愛や親子の愛、女性の母になることで発揮される強さなど、決して単純ではない家族の愛、家族のあり方を振り返るきっかけとなるような作品が多かったです。浅田政志の家族でシチュエーションパフォーマンスをしている作品は、非常にユーモア溢れる作品でした。
5、 広がる愛
最後は物や自己へ向かう愛やテクノロジーの発達による新たなつながりの形、そして平和への希求など現代の愛について迫ります。昔より過剰になった自己への愛情の形や噂のバーチャルアイドルなど今を生きる若者に身近なセクションです。
なんとこちらには、草間彌生の新作《愛が呼んでいる》2013年、も展示されています。昼と夜では見える景色が違うとのことで、夜に訪れるのもおすすめです。
こちらには六本木未来会議にも出演いただいた、Chim↑Pomの《気合い100連発》2011年、も見ることができます。震災直後の福島県の映像とともに、多大に励まし合う人間の絆と愛を作品化しています。
そして最後をしめくくるのはこちら!
そう、初音ミクです。最後にある個室に入ればそこはもう初音ミクの世界。インターネットを基盤として、アートを通した新たなつながりの形はどこまで進化していくのでしょうか。たくさんの初音ミクを観ることができますのでファンには必見ですね。
これだけの著名なアーティストの作品を一挙に見ることができる展覧会はそうないでしょう。さすがは10周年ということだけあり見ごたえ十分でした!きっと好きな作品に出会える展覧会ですので、是非足をお運びください。そして、愛について、考えてみてくださいね。
編集部R、アシスタントS
[展覧会名] LOVE展:アートにみる愛のかたち―シャガールから草間彌生、初音ミクまで
[会場]森美術館
[会期] 2013年4月26日(金)~9月1日(日)
10:00~22:00 火曜日のみ17:00まで(入場は閉館の30分前まで)
[休館日] 会期中無休
[入場料]一般:1500円、大学生、高校生:1000円、中学生~4歳:500円
[住所] 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53階
[展覧会ホームページ] http://www.mori.art.museum/