67 藤原大(クリエイティブディレクター)

藤原大(クリエイティブディレクター)

「MUJI to GO」や資生堂の「LINK OF LIFE」のディレクターを務めるかたわら、大学でも教鞭をとる藤原大さん。六本木未来会議には、2014年に行われた「カラーハンティング展 色からはじめるデザイン」特別ギャラリーツアー以来の登場となります。ファッション、色を通して語られる六本木、そして未来のものづくりとは?

update_2016.5.2 / photo_tsukao / text_kentaro inoue

コーポレート、アカデミック&リージョナル。

 僕は日頃、コーポレート、アカデミック、リージョナルという3つを軸に活動をしています。コーポレートというのは法人に関わる仕事で、たとえば「MUJI to GO」のディレクターなど。多摩美で教えるとか教育に関わるのがアカデミックで、六本木未来会議と同じように街や地域にまつわるあれこれがリージョナル。

LINK OF LIFE
サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、アートをデザインでつなぐ、資生堂による「美の大実験室」。藤原氏監修のもと、資生堂内外の研究員やクリエイターがコラボレーションによって作品を制作。2015年10月には「感触」をテーマにした展覧会を開催した。

 中でも、ここ5年くらいは、アカデミックとリージョナルを丁寧にやってきたつもりです。たとえば、自分の事務所を設立した2012年からは、湘南地区で「国際観光デザインフォーラム」というプロジェクトを立ち上げました。そこでは、地産地消を目指して「かまくらやさい」をテーマにした発表会をしたり、JR鎌倉駅の地下道で学生と共に街につながるための展示をしたり。江ノ電さんと商店街をつなげる企画も進んでいます。

 この間、鎌倉の鶴岡八幡宮の参道「段葛(だんかずら)」のお祝い行事があり、竹と和紙を使った旗を奉納させていただきました。鎌倉時代のものづくりみたいなこともやりたくて、みなさんと一緒に取り組める企画をコツコツと進めています。

 他にも、資生堂さんと一緒に「LINK OF LIFE」というプロジェクトに取り組んでいて、2015年には展覧会も開催しました。名前のとおり、つながることがテーマなので、科学者や研究者、デザイナーにアーティストから、商店街の人まで。もちろん今年もやりますよ。時期はちょうどデザインウィークが開催されている10月、銀座は六本木からもすぐですし、未来会議とも何か一緒にできたらいいですね。

六本木はある意味で、自分を育ててくれた。

MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事
三宅一生氏が活動を開始した1970年から現在まで約45年間の仕事を紹介する、過去最大規模の展覧会。会場デザインは佐藤卓氏、空間デザインとトルソーのデザインは吉岡徳仁氏が手がけた。国立新美術館で2016年3月16日(水)から6月13日(月)まで開催。

 というのも、僕にとって六本木は知らない街じゃない......いや、ある意味で育ててくれた街といってもいいくらい。地元は湘南ですが、高校から大学時代にかけてはバイトをしていて、毎日終電で通っていた思い出の場所なんです。かわいがってくれるお店がいくつかあったし、お金をもらって人に会って話が聞けるのが面白くて、いろんな場所に出入りしていました。

 正直なぜ六本木だったのかはよくわからないんですが、バイトをしながら、とにかくその場の空気を吸いに行くのが楽しかった。この街にはたぶん動物的に惹かれる磁場があって、そういうところに寄っていっちゃうタイプだったのかもしれません(笑)。

 仕事をするようになってからも、21_21 DESIGN SIGHTで「カラーハンティング展 色からはじめるデザイン」をやらせてもらったし、この間は国立新美術館の「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」展にも、もちろん足を運びました。余談ですが、あの展覧会はMIYAKE ISSEYのチームクリエイションの魅力が随所に出ているし、一生さんのこれまでの仕事をまとめて見られる。本当にかっこよかったですよ。

新しいものを噛み砕いて発信することを理解してくれる街。

 かつて六本木には、ハイテクノロジーで空間も魅力的な、面白い人が集まる場所がたくさんありました。先端のものを見たり聞いたり語ったり、街の中でコミュニケーションを育んで、みんながつながっていく街だったんでしょう。

 もともと外国人が多くてインターナショナルな要素が強くて、そういう人がフリーで集まる場所は当時は夜型がほとんど。中でも夜の六本木は、カルチャーに強く関係していました。いわゆるお酒とか飲みだけじゃない、食べたり飲んだり話したりダンスしたりフィジカルっていうところから派生した文化がつくられていった。そういう意味では、後押しをしてくれるし吸収力もあるというか、読解力があるというか、新しいものを噛み砕いて発信する必要性を理解してくれる街なのかなと思います。今は美術館が多くある。美術館は夜型ではないけれども同じ機能性がありますね。ようやく昼夜つながってきたんでしょうね。

 ロンドンにしてもパリにしても、大人がわがままに楽しく過ごせるのは、やっぱり外の文化を受け入れて、それを柔軟に落とし込んでいくことができる街。今、多様性を受け入れようとして問題になって複雑な動きもあるね。