53 ファンタジスタ歌磨呂(アーティスト)

ファンタジスタ歌磨呂(アーティスト)

4月25日(土)と26日(日)に迫った「六本木アートナイト2015」。そのキービジュアルを手がけるファンタジスタ歌磨呂さんは、ゆずやでんぱ組.incのアートワークのほか、ファレル・ウィリアムス、livetune feat. 初音ミク「Tell Your World」などのミュージックビデオ、さらには雑誌『WHAT'S A FANTASISTA UTAMARO!?』の出版やファッションまで、ジャンルを横断して活躍するクリエイター。マンガやアニメすべてがアートだと語る歌磨呂さんが描くのは、ヲタの集まる未来の六本木!?

update_2015.4.1 / photo_tsukao / text_kentaro inoue

マンガやアニメはもちろん、伝統工芸もアイドルも全部アート。

六本木アートナイト2015

六本木アートナイト2015
2015年4月25日(土)、26日(日)に開催。今年で7回目となる、六本木の街を舞台にした一夜限りのアートの饗宴。上の写真が、ファンタジスタ歌磨呂氏が手がけたキービジュアル。

アートトラック

アートトラック
六本木アートナイト2015のメインプログラム。LEDやミラーボールを搭載した光るアートトラック「ハル号」「アケボノ号」が六本木各所に登場。スマホで入力した文字が表示されるなど、観客も一緒になって楽しめる。

 日本のアートの定義って少し特殊だなと感じていて、ちょっと敷居が高いイメージがあります。個人的には、アートってそもそも、もっと自由なものなんじゃないのとも思っていて。毎回、六本木アートナイトを観ていても、そういう印象を拭えずにいました。

 僕にとっては、マンガとかアニメはもちろん、伝統工芸もアイドルも全部アートって認識で。だから今回、六本木アートナイト2015に、ライゾマティクスの齋藤精一さんがメディアアートディレクターとして入って、新しいジャンルを取り込んでいこうという流れにはすごく共感するものがありました。

 担当させてもらったキービジュアルについていうと、キャッチコピーの「ハルはアケボノ」というテーマはあとから決まったんですが、イメージは和。今回のプログラムのひとつにもなっている日本ならではのデコトラがあったり、富士山に雲や波といった浮世絵の風景、相撲っぽい書体など。それと、僕の作品に共通する無限増殖するというコンセプトを盛り込んでいます。

アキバのヲタを、六本木という"異国の地"で爆発させる。

最前ゼロゼロ

最前ゼロゼロ
ファンタジスタ歌磨呂氏の呼びかけで生まれたハイパーエンタメ集団。秋葉原ディアステージ代表もふくちゃん、ファッションブランドMIKIO SAKABE、SEMITRANSPARENT DESIGNの菅井俊之氏が参加。ユニット名は、オタク用語の「最前ゼロズレ」(ライブ会場最前列ど真ん中で、アイドルとのズレがない状態)から。

 他に、これまで六本木で印象に残っている仕事といえば、2011年にTSUTAYA TOKYO ROPPONNGIでやった、ミキオサカベくんのファッションショー。その中で、当時まだ地下アイドルという領域で活動していた、でんぱ組.incのゲリラライブを行いました。もともとは、その数年前にでんぱ組.incが所属している秋葉原ディアステージというお店の内装を頼まれて見に行ったときにヲタ芸に出会って、「これはヤバイ、こんなにはじけてるジャンルがあるんだ」と驚いて、異文化交流として、「最前ゼロゼロ」というチームをつくってアートプロジェクトをはじめたんです。

 ちなみに、ライブ会場に六本木のTSUTAYAを選んだのは、せっかくなら日本にしかないところがいいだろうと考えていて浮かんだのが、レンタルビデオ屋さんだったから。もうひとつ、アキバで輝いていたヲタ芸の奇跡を、六本木という"異国の地"で爆発させたいというのも目的のひとつでした。

 彼らはそもそも見世物ではなく、愛の祈りとしてヲタ芸をやっているので、ディアステージの舞台に上がって、「僕は数年前にここでヲタ芸に出会って衝撃を受けました。どうか、イベントを盛り上げてほしい!」みたいな話を、ヲタ一人ひとりに力説させてもらって。結局そのショーには3,000人くらいが集まって、入場制限されるほど盛況で、本当にうれしかったです。

トレーニングは体だけでなく精神的にもいい影響を与える。

 最近、六本木ではまっているのは「ジム」に通うこと。去年は、年間の半分弱はニューヨークにいたにもかかわらず、なんと160回も行ってました。きっかけは、太ってしまったのと、慢性的な疲れが取れなかったことに加えて、そこに通っていた知り合いがすごくキラキラして見えたから。昔、『週刊少年ジャンプ』に掲載されていた広告、覚えてませんか? ひ弱なやつが、ブルワーカーという器具を使うと日焼けしてムキムキになってモテるっていう(笑)。
そんなイメージで通っています。

 実際にトレーニングしてみて、運動は体だけじゃなく精神的にもいい影響を与えることに気づいたんです。どこかの部位をトレーニングするとき、頭で考えても体はいうことを聞いてくれません。そこで、頭も体のパーツもすべてがフラットに置いてあるというイメージトレーニングをしていたら、今まで上がらなかった重さのものが上がるようになった。

 感動して、自分はこれまで、なんて頭でっかちに物事を考えてたんだろうって思って。そして頭だけで考えなくなったら、仕事だったり生活だったり、すべての部分がリンクして、すごくクリエイティブになれるとわかったんです。今ではすっかりはまってしまって、いろんな人にトレーニングをすすめまくっているんですけど。