23 川村真司 (PARTY クリエイティブディレクター)

川村真司 (PARTY クリエイティブディレクター)

広告の世界で華々しい活躍をしてきたメンバーが集まり、2011年に設立されたクリエイティブ・ラボ、PARTY。メンバーのひとり、川村真司さんは広告のみならず、フリップブックや数々のミュージックビデオ、テレビ番組「テクネ 映像の教室」の企画・制作に参加してきた注目のクリエイターだ。多忙さゆえ、いま関心のあることは? との質問には思わず「休むこと」と答えた川村さん。それでも、六本木をデザインとアートの街にするアイディア、一気にどどどっと語ってくれました。

update_2013.2.20 / photo_taro hirano / text_tami okano / edit_rhino

六本木という「街」を大きなギャラリーに。

 いつも思うのは、美術館やギャラリーが街にたくさんできるのは素晴らしいことだけれど、そういった限られたスペースだけにアートやデザインを閉じ込めておくのはもったいない。アートもデザインも、ごく普通の、生活の中にあってこそだと思うんです。だからそういう施設の中だけじゃなくて、道路や街角も展示スペースの一部にして、六本木という街全体が大きな美術館という捉え方で「デザインとアートの街」にできたらいいですよね。

 そこで、例えばなんですけど、六本木にある看板や街頭ビジョン、つまり広告媒体をすべて、作品の発表の場としてアーティストたちに解放する、というのはどうでしょう。

 スペースの大小に関わらず、とにかく徹底的にオープンにしちゃう。看板だけでもその数は無数にありますよね。期間は1ヶ月でもいいし、「六本木アートナイト」のようなイベントのタイミングにあわせての数日だけでもいい。既存の看板の上から簡易的に貼らせてもらうとか、方法はあると思うんです。とにかく一度、街全体を自由なキャンバスにできると面白いのではないでしょうか。

みんなが巻き込まれるアイディア。

看板をキャンバスに実際に交差点周辺の看板を画像加工で白いキャンバスにしてみました。作品に看板を合わせるか、看板のサイズに作品を合わせるか、はたまた気にしないか、作家によって意見が分かれるのも面白そうです。

 街中の広告媒体がアートになっているのだから、美術館のフロアマップにあたるものが六本木の街の地図になっていて、この部屋にはモネがある、というのと同じで、この路地に行くとバンクシーがある、みたいな、地図を持って作品を見て回れるといいですよね。今までアートに触れる機会がなかった人もアートを楽しめるし、作品を見に来ようと思って来たわけではない人が思いがけない出会いをする、ということもある。

 アーティストは第一線で活躍するプロはもちろん、まだ無名の若手や学生にも参加してもらう。クレジットの入れ方によっては広告主も協力してくれるかもしれない。できるだけ多くの人を巻き込むほうがいいと思うんです。みんながちゃんと「六本木はデザインとアートの街だよね」って思うためには、ただ作品をひとつつくって「これが六本木の考えるアートだ」と押しつけるのではなく、みんながちゃんと巻き込まれて、一緒につくっていけるアイディアであることが大事だと思います。

オンライン上の仕組みづくり。

 みんなが巻き込まれるアイディアと仕組みづくり。例えば、オンライン上にストリートビューのようなモノを作って六本木が歩けるようになっていて、そのストリートビュー上では広告媒体が全部白くなっている。で、マウスオーバーしてクリックすると、「予約しますか?」みたいなメッセージが出てきて、媒体のサイズなんかも表示される。YESを押したらそのサイズにあったビジュアルがつくれて、それをアップロードしたら印刷もしてくれて、何月何日に貼っておきます!みたいな。

 そういうシステムのベースは例えばPARTYがつくるけど、六本木全体が美術館になるためには、別に僕個人が「作品」をつくらなくたっていいわけです。仕組みを世の中に提供し、みんなでつくる。そういうプラットフォームづくりというか、ツールづくりにとても関心があります。