08 森田恭通 (デザイナー)

森田恭通

何度も脚を運びたくなる魅力的な店舗デザインを世界中で手掛け、今も世界8カ国でプロジェクトが進行中という森田恭通さん。六本木との接点は遊びでも仕事でも数限りなく、六本木ヒルズ森タワーの屋上で行われている「スカイ・ドリーム・デッキ」も森田さんの最新作のひとつだ。この日、多忙なスケジュールの合間をぬって駆けつけてくれたのは、その「スカイ・ドリーム・デッキ」が展開中の森タワー53階にある「森美術館」。通い慣れた様子で館内を歩き、インタビューも終始リラックスした雰囲気で、話題は森田流アイディアの生まれ方にも及びました。

update_2012.8.1 / photo_taro hirano / text_tami okano / edit_rhino

D森田とA森田。

スカイ・ドリーム・デッキ ©Nacasa&Partners

スカイ・ドリーム・デッキ
ウォルト・ディズニー生誕110周年を記念して、森タワー屋上で開催されている音と光のインスタレーション・イベント。まるでディスコのミラーボールのオブジェが音楽に合わせてキラキラ回る、約120体のディズニーのメインキャラクター達が六本木の街を照らします。
東京都港区六本木6-10-1 スカイデッキ(六本木ヒルズ森タワー屋上)
※52階の展望台のスカイドリーム・ショップでは、限定商品も発売中。

 僕の中には「D(デザイナー)森田」と「A(アーティスト)森田」という2人がいるんです。例えばきっちりとした予算があって、その予算内でビジネスの起爆剤になるような店舗やプロダクトのデザインをするというのが「D森田」。では「A森田」はというと、わりと自由に、やりたいことをやっちゃう。今回の「スカイ・ドリーム・デッキ」はどちらかというと「A森田」としての仕事です。そもそもの始まりは、森ビルさんと「何か面白いことを考えたいですね」という話しになり、いま僕がディズニーのディレクターをやっているので、一緒なら「普通はできないようなこと」ができるかもしれない、と。

 そこで僕は「六本木でしかできないハッピーな提案」をしたいと思ったんですね。ミッキーをはじめディズニーの代表的なキャラクターがアートになって、大人が楽しめるキラキラとした世界を音と光のインスタレーションで出現させたい。六本木だし、ディスコをやろうよ、ミラーボールを作ろうよ、ということで、光を放ちながら回る彫刻に辿りついたんです。

みんなが繋がれるアートの力。

 今回のイベントが実現できたのは、アートというキーワードがあったからなんです。ミッキーマウスがミッキーであると同時に、観る人に新しい発見や感動を与えるアートになる。アートだから、ディズニーも森ビルさんも賛同してくれたし、僕も作りたい世界を作ることができた。

 「普通だったらできないようなこと」も、アートというキーワードによってみんなが繋がり、実現できる。スパイスのような刺激的なものが生まれる。それって素晴らしいことだと思うんです。

 僕がアートを考えるときに大事にしていることは、あまり説明が要らないものであること。解説文を全部読んでから理解したり、読んでも分からないっていうのがあってもそれはそれで面白いと思うんですけど、僕の場合は子供からおじいちゃん、おばあちゃんまで、年齢、性別、国籍問わず楽しめることを大切にしています。

説明の要らないものの強さ。

森美術館

森美術館
六本木ヒルズ・森タワー53階に位置する美術館。現代アートを中心に写真、デザイン、ファッション、建築など様々なジャンルの斬新な企画展を開催している。夜22時まで鑑賞が可能なため、仕事帰りなど平日でも気軽にアートを楽しむことができる。
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53F

 説明が要らないもののほうが、印象に残りやすいし、人に伝えやすいでしょう。「キラキラしていて面白かったよ」とか、その一言がものすごい大切で、「えーとね、説明が難しくてね......」というよりずっと強い。人が人に伝えることで、それがまたいろんな人の輪を作り、見に来てくれる人も増えるし、リピーターにもなってくれる。

 六本木は立地的にもいろんな人がアクセスしやすい場所なので、今回のような挑戦をもっとして増やしていきたいですね。「A森田」としてもう一つ六本木で好きなことやっていいですよと言われたら、次は室内でディスコかなあ(笑)。屋上ディスコはヒルズで実現したので、室内バージョンはぜひ、ミッドタウンで。