長くヨーロッパを拠点に活動し、国際的にも高い評価を得ているイケムラレイコの大規模な個展を開催いたします。
1970年代にスペインにわたり、美術を学び始めたイケムラは、その後スイスで現代美術家としての活動を本格的に開始し、1980年代前半からはドイツを拠点に活躍してきました。
イケムラは、絵画、彫刻、ドローイング、水彩、版画、写真、映像といったあらゆるメディアを駆使し、生成と変化の諸相を、潜在的な可能性までをも含めて表現しています。少女や夢幻の像、幻想的なハイブリッドな生きものたち、人や動物と一体化した風景など、イケムラ独特の多義的なヴィジョンは、イメージからイメージへと、軽やかにそのあらわれを変えていきます。そこには、生きている私たち、生まれいずるすべてのものたちの存在の多様性を、あるがままに受け入れようとするイケムラの強靭な思想が感じられます。ときにユーモラスで、ときに慈愛にあふれ、ときに悲壮な、慎ましげで内省的な作品たちは、まさにこの点において、閉塞感を増している今日の社会情勢に対する鋭い批評でもあるでしょう。
近年イケムラは、40年にもわたる芸術的探求を経て、始原の物語を神話的スケールでつむぎ出そうとする大画面の山水画に取り組んでいます。約210点の作品を16のインスタレーションとして紹介する本展覧会を通じて、イケムラが見てきた、そして今まさに見ようとしている総合的な景色と世界観を共有できれば幸いです。
会場
国立新美術館 企画展示室1E
会期
2019年1月18日(金)~ 4月1日(月)
開催時間
10:00~18:00
※金・土曜日は20:00まで
休館日
火曜日
観覧料
一般1,000円、大学生500円、高校生以下無料
問い合わせ先
tel:03-5777-8600(ハローダイヤル)