TOUR REPORT

第19回六本木デザイン&アートツアー 四方幸子氏と巡る「MEDIA AMBITION TOKYO」ツアー

第19回六本木デザイン&アートツアー 四方幸子氏と巡る「MEDIA AMBITION TOKYO」ツアー

update_2015.3.18 / photo_tsukao / text&edit_kentaro inoue & yosuke iizuka

「MEDIA AMBITION TOKYO(以下MAT)」は、2013年から開催されている、テクノロジーアートを世界へ発信するイベント。3回目となる今年は、2015年2月11日(水)から15日(日)まで、六本木のほか青山やお台場でも開催されました。六本木デザイン&アートツアーでは、そのうち六本木ヒルズの「MAT LAB.」、IMA CONCEPT STOREの「IMA ARART exhibition」、東京ミッドタウンの「Skate Drawing」を巡りました。ガイドは、メディアアート・キュレーターの四方幸子さん。その様子をレポートします。

"野心"を感じるイベント、MEDIA AMBITION TOKYO。

参加者のみなさんが集合したのは、六本木ヒルズのパブリックアート「ママン」の下。ここから、四方さんの案内のもと、今回のツアーがスタートしました。

「私が90年代にキュレーターとして関わっていたキヤノンの文化支援プロジェクト(「アートラボ」)のオフィスが六本木にあったんです。その後、2000年に入ってからはアソシエイト・キュレーターとして森美術館の立ち上げにも参加しましたし、麻布十番に住んでいたこともあって、個人的にも六本木はなじみ深い街。今日は、そういったことも思い出しながらツアーをしていきますね。今年度から明治大学で『メディアアート』という講義を担当していますが、学生たちからもライゾマティクスやチームラボといった名前をよく聞くようになりました。このジャンルの注目が高まっているのを実感しています」

「さて、MATですが、『アンビシャス』というとクラーク博士のあの言葉(Boys, be ambitious!)を思い出しませんか? MATは4人の男性が立ち上げたんですよね。JTQの谷川じゅんじさん、CG-ARTS協会の阿部芳久さん、森ビルの杉山央さん、ライゾマティクスの齋藤精一さん。男っぽいイメージの、野心とか野望を感じるイベントですね。例年、六本木ヒルズ森タワーの展望台を中心に開催していましたが、改装中で、今回は閉鎖中のチケットカウンターを使っているそうです。今しか使えない場所での展示、さっそく観に行きましょう」

創造の最前線で躍動する仕事場が、六本木に出現。
WOW×SANDWICH「MAT Lab.」

森タワーの3F、展望台チケットカウンターに到着すると、広がっていたのはまさにスタジオのような光景。この「MAT Lab.」の会場で一行を待っていたのは、MAT立ち上げメンバーのひとり、谷川じゅんじさん。ここではビジュアルデザインスタジオ「WOW」と、彫刻家・名和晃平さん率いる「SANDWICH」が、会社ごと移動して、普通に仕事をしているのだそう。

会場の説明をしてくれた谷川さん(中央)に加え、この場所で本当に仕事をしていた名和さん(右)も話を聞かせてくれました。

「公開ラボということで、僕たちが進めているプロジェクトを実際に制作したり、実験したりしています。ふだん僕たちは京都、WOWは渋谷で仕事をしているのですが、やっぱり近くにいると情報交換や技術的なアドバイスもより盛んになる。5日間ここにいるというのを聞きつけて、ここぞとばかりにいろいろな人が打ち合わせに来て、逆に仕事ができないという状況になりつつもありますけど(笑)」(名和さん)

「また、ケイズデザインラボという会社に協力してもらって、3Dプリンターや3Dのモデラーを使って、建築や彫刻、アートのインスタレーションを制作しています。今までになかった形でのブレイクスルーが起こるんじゃないかという気がしますね。WOWは映像が得意、SANDWICHは造形物が得意。デジタルとアナログが融合するマッチングは、最強のチームなんじゃないかと思っています」(名和さん)

「名和さん、ありがとうございました。テクノロジーアートは、常設すると投資額も大きくなってしまいますし、まだその可能性をステークホルダーが見極められていません。そこで、短期的に(街に)プラグインすることで人が集まり、質量をともなった場をつくることで、新しい現象が生まれるんです。日本が抱えている閉鎖的な仕組みをアウトサイドから壊してみようということで、リスクを背負ってみんなでトライしている。それに共感してくれた人が、場所やモノ、アイデアを提供することで、最小限の経済負担で最大の効果が出せるのがこの仕組みのいいところです」(谷川さん)

「一般的な芸術祭や展覧会とは少し違う、『生む』というエネルギーが持っている可能性を、みんなに感じてほしい。これを何年も続けていくことで、パリコレクションやミラノサローネ、メゾン・エ・オブジェなど世界中の誰もが知っているイベントのライバルになって、世界中から人を呼ぶことができると僕は思っているんです。毎年2月はアート&テクノロジーの新しい表現を見に東京へ行こうという流れを、みんなでつくっていきたいと思っています」(谷川さん)

「MAT Lab.」の最後は、四方さんからこんなコメントが。

「仕事場が公共の場に出現しているという不思議な状況で、新鮮ですよね。いろいろな人がいて、ここでしかない出会いがあって生まれるものがある。自由度があるからこそ可能性があるんだと思います。こちらの方はゴジラの写真を見ながら造形していますね。3Dプリンターも注目の技術。人間の想像を超えたものや世界には存在しないものがつくれる可能性があると思います」