TOUR REPORT

第14回六本木デザイン&アートツアー 五十嵐久枝氏と巡る六本木インテリアショップツアー

第14回六本木デザイン&アートツアー 五十嵐久枝氏と巡る六本木インテリアショップツアー

update_2014.10.15 / photo_tsukao / text&edit_kentaro inoue & yosuke iizuka

AXISビルのフラッグショップ「リビング・モティーフ」と、多彩なデザイナーとのコラボレーションも行う「飛騨の家具館」。先日の六本木デザイン&アートツアーでは、この2つのインテリアショップを巡りました。ガイドは、TSUMORI CHISATOをはじめとするショップの空間デザインのほか、家具・プロダクトなどの商品開発を手がけるインテリアデザイナーの五十嵐久枝さん。その様子をどうぞ。

六本木でデザイン界を牽引し続ける商業施設「AXISビル」

ツアー参加者が集まったのは、外苑東通り沿いにあるインテリアショップやギャラリーなどが集う「AXISビル」の1階。まずはガイドの五十嵐さんによる、この場所の解説からツアーはスタートしました。

「このAXISというビルは、デザインの振興と発信を目標に、1981年にオープンしました。通りに面している側には窓がなく、入ると中央に大きな吹き抜けがあって、自然を感じ取れるような建築になっています。安藤忠雄さんの作品『ローズガーデン』なども手がけた浜野商品研究所がプロデュースに携わっていたこともあって、商業空間としてとても特徴がある設計だと思います」

「私が以前在籍していた倉俣史朗さんのデザイン事務所でも、いくつかの仕事を請け負っています。そのひとつが、吹き抜けの階段。実は依頼の段階では、階段ではなくオブジェをデザインしてほしいと言われたとも聞いています。実際に、階段の機能だけでなく見た目の美しさもあり、オブジェとしての意味もあると思います。施工を請け負ったのは三保谷硝子、手すりに強化ガラスを使うことにかなり反対があったようで、当時としてはかなりチャレンジングな仕事でした。では、さっそく『リビング・モティーフ』に入りましょう」

日本のインテリアをリードし続ける老舗であり、最先端。
「リビング・モティーフ」

リビング・モティーフは、AXISビルのオープン当初からあって、80年代半ばに私も倉俣さんに連れてきてもらい、かれこれ25年前から通い続けています。品揃えこそ今とは少し違いますが、当時からここには最先端の生活用品や文房具がありました。実は、倉俣さんの代表作品の中には、こちらの文房具からインスピレーションを得たものもあったようです」

「インテリアデザインにとって素材はとても大切なもの。デザイナーは、あらゆるものを見て、その素材をインテリアや家具に引用できないかと思うものです。私も、気になるものは実際に手に取りますし、什器を軽く叩いたり、さわったりもします」

「こちらは什器のデザインも良く、空間の見通しがきくようにうまく配置していて、商品がよく見える。使われている色も素材も、透明感があります。(私が来はじめた)当時は植木莞爾さんがインテリアを手がけていたと思いますが、イタリアでデザインを学んだ方だけに、ヨーロッパの香りがしていましたね。私自身、25年も通い続けているのはここだけ。日本のインテリア雑貨業界をリードし続けているお店だと思います」

「では、次は2階のフロアへ。せっかくなので階段を上りましょう。階段の下に貼られているのは硬質ゴム。怪我をしたらいけないので入れないように壁で囲うことが多いと思いますが、浮遊感を出すためにそうしていないという、こだわりや配慮があります。ちなみに、奥の『ル・ガラージュ』というお店の内装も、当初は倉俣さんによるデザインでした。作品集にも載っていない、知られざる作品です」

「2階は文房具が充実しています。これだけの数の商品があるのに、空間に抜けがあるのはリビング・モティーフさんならでは。ここで買い物をしているとよくデザイナーを見かけることもありますし、知り合いのデザイナーがデザインしている製品も多くあります。お買い物しながらお勉強させてもらう感覚ですね(笑)」

「こちらの商品『WIRE WORK TRAY』も面白いですね。革製品ですが、端の部分に針金が入っていて、好きな形に変形させられる。今は素材の種類もどんどん増えているし、アースカラーやナチュラルカラーのものが流行していますね。私は家具やインテリアなど比較的、大きなものを手がけることが多いんですが、こうして手のひらに乗るサイズのもののデザインを、家具のサイズで実現できないかと考えたりもします」

「一見何に使うのかわからないけれど、手に取ってしまいたくなるもの。こういう商品が置いてあるだけで、店舗が魅力的に見えることがあります。ネットショップでは目的のものにしか出会えないけれど、リアルなお店には新しいものとの出会いのきっかけが散りばめられている。私もネットで買い物しますが、趣味のものや洋服、雑貨などは実際に見て買うことが多いですね」