TOUR REPORT

第10回 六本木デザイン&アートツアー 平野太呂氏による3コマ写真ワークショップ

第10回 六本木デザイン&アートツアー 平野太呂氏による3コマ写真ワークショップ

update_2014.6.18 / photo_tsukao / text&edit_kentaro inoue & yosuke iizuka

第10回となる六本木デザイン&アートツアーでは、これまでと少し趣向を変え、写真のワークショップを開催しました。講師は、六本木未来会議のクリエイターインタビューで、連続した3コマのメインビジュアル(No.1~31)を撮影していた写真家・平野太呂さん。プロカメラマンによるレクチャーのもと、参加者のみなさんが「3コマ写真」の撮影に挑戦したツアーの様子をレポートします。

自分が思ったように撮る、それが結果的に個性になる。

 ワークショップは、まず、レクチャーからはじまりました。冒頭は平野さんの自己紹介から。アメリカ西海岸の空のプールを撮影した処女作品集『POOL』(リトルモア)や、クリエイターの仕事場を収めた『東京の仕事場』(マガジンハウス)、多部未華子さんのフォトブック『1/25(イチガツニジュウゴニチ)』などの作品がモニターに映し出されます。

「中学生の頃からスケボーで遊んでいて、スケートボード専門誌『SB』ではフォトエディターをしていました。アメリカの西海岸では、底の丸くなった空のプールの中でスケボーを滑るんですが、雑誌でそれを取材したことをきっかけにできたのが『POOL』という写真集。僕の仕事は基本的に雑誌が多くて、多部未華子さんの写真集のように、女の子を撮るような仕事は珍しい。緊張しちゃうんですよね(笑)」

「僕はなるべく自然に、自分が思ったように撮ろうとしています。プールを撮っても女の子を撮っても同じ作風なら、それが結果的に個性なのかもしれません。自分ではわからないので、(個性は)誰かが判断すればいいと思っていますし、観る人によって捉え方が違ってもいいんじゃないかと思っています」

3コマ写真は、ウェブサイトに落とし込むための"作戦"。

 そんな平野さんが、六本木未来会議の立ち上げ時から手がけていたのが、現在も続いている「クリエイターインタビュー」の3コマ写真。連続した3コマでストーリーを展開させる形にしたのは、編集者のアイデアから生まれた"作戦"だったのだそう。

「これだけ有名なクリエイターの方々と、正面から対決するように写真を撮ると、こっちがボロボロになる。続けていたら廃人になってしまいます(笑)。3コマ写真というのは、悪くいえば逃げだし、良くいえば視点を変えるという方法。それが、六本木未来会議というウェブサイトに適した落とし込み方なんだろうと思います」

「これは、会田誠さんと辛酸なめ子さんが登場した回の写真。美術館では、よく作品の横に監視するおばちゃんが座っているじゃないですか。その人と美術品との関わりがまったくない、自分の作品なのにまったく関知しませんみたいな、しらばっくれている感じが面白いなと思って(笑)。このふたりなら、そんなイメージをわかってくれるかなと思って、提案してみました」

 また、平野さんがとくに印象に残っているというのが、葛西薫さんと廣村正彰さんの回。撮影中のこんなエピソードも教えてくれました。

「葛西さんはアートディレクターだから、自らディレクションしてくれたんです。『こんな感じ?』って言いながら、足を一歩踏み出してくれたり。シャッタースピードが遅いこともわかってくれていたのか、ゆっくり動いてくれたりして、すごくやりやすかった。そのスマートさがすごいなって思いましたね」

大切なのは、「面白い」と思えるアイデアを盛り込むこと。

「こうして振り返ってみると、3コマ写真には、同じ場所でカメラは動かさず人物に動いてもらう場合と、バラバラな場所で3枚撮って、文脈や物語を感じさせる場合の2パターンがあります。その人の作品を入れる場合には、その人と作品との関係性を重視して撮る場合もありますが、やっぱり、最後にはオチのようなものがあるといいですね」

 レクチャーの最後には、小山薫堂さんの回で撮影を行った、穴の空いた巨大な大理石のパブリックアート「意心帰」がある地下1階へ。これから撮影に向かう参加者のみなさんに、平野さんからこんなアドバイスが。

「小山さんを撮影したときは、3コマ目で作品の中に入ったら面白いなと思ったんです。その意図を説明して理解してくれたから、小山さんも中に入ってくれました。そういう『面白み』をどこに見出すか。初対面で話し合うのは難しいかもしれませんけど、ぜひアイデアを出し合って撮影してみてください」