TOUR REPORT

第5回 六本木デザイン&アートツアー「おいしいデザイン散歩」

第5回 六本木デザイン&アートツアー

 この頃には、もうすっかり打ち解けたツアー一行。そこかしこで自然に会話が生まれ、まさに楽しい"お散歩"ムードに。再び六本木通りを引き返し、おすすめスポットが集中する六本木交差点へと向かいます。

交差点の真上に輝く隠れた名作。
「六本木のロゴ」

「交差点の上に見える『六本木のロゴ』は、サントリーのウーロン茶や、和菓子の『とらや』のアートディレクションなどで知られる、葛西薫さんのデザイン。並木道をイメージしているそうです」(三星)

 トラフがセレクトしたこのロゴは、2009年に高速道路の高架がリニューアルした際に付けられました。高架下に光る照明は、東京タワーのライトアップも手がける照明デザイナー、石井幹子さんによるもの。

かつての六本木の街に思いを馳せる。
「奏でる乙女の像」

 続いて、柴田文江さんが「地元の方々には愛着の深いブロンズ像」と語る、こちら。彫刻家・本郷新さんの作品で、戦後間もなくの1954年、六本木が復興した記念に設置されたのだそうです。

「柴田さんのオフィスは六本木。住まいも近くだとか。そのせいか、僕らの依頼に対する反応は誰よりも早かったですね。ちなみにここには、彼女がデザインした『smiley × smiley』という花壇もあります」(三星)

「ブックディレクターの幅允孝さんがおすすめしてくれた『俳優座』も、この近く。六本木の歴史を紹介した『六本木物語』という本に登場する中で、今も往時の雰囲気を残す貴重な劇場です」(加藤)

建築&デザインを発信する代表的スポット。
「TOTO ギャラリー・間」

 外苑東通りを乃木坂方面へと歩き、最後に訪れたのは、建築とデザイン専門のギャラリー「TOTO ギャラリー・間」。学生時代からここで数多くの建築展を見てきたというトラフの二人いわく「会場全体が作品になるような展示を楽しめる」、六本木を代表するギャラリーのひとつです。

 開催されていたのは、原研哉さんがディレクションを手がけた「ARCHITECTURE FOR DOGS」という展覧会。原さんのほか、トラフ建築設計事務所や隈研吾さん、妹島和世さんなどクリエイター13組がデザインした「犬のための建築」が、自由にダウンロードできる設計図とともに公開されていました。

こちらは、トラフの作品。糸井重里さんと愛犬ブイヨンとのエピソードをヒントにデザインした、飼い主のシャツの匂いに包まれて眠れる「ワンモック」。

点と点を結ぶと、街の楽しみ方が見えてくる。

「みなさんとおしゃべりしながら回るのが楽しくて、僕もただ参加者のひとりになってしまいました(笑)。お話ししていると、『マップのここがいい』『また来年もつくってください』という声も聞こえてきて、僕たちが目指していたことは間違っていなかったんだな、と勇気づけられました」(三星)

 締めくくりは、ギャラリー・間のテラスで、ガイドのお二人とともに、本日のツアーを振り返りました。食べ歩きに路地裏散歩などなど、テーマを絞ったいつもの「六本木デザイン&アートツアー」とは、ひと味違う今回のツアー。参加者のみなさんは、どんな感想をもったのでしょうか?

「これまで行ったことがないお店や、気づいていなかった作品にたくさん出会えました。きっと、隠れたスポットって、探せばもっとあるんじゃないか。今までは表通りしか歩いていなかったので、これからは裏道も通って、自分だけのお気に入りのスポットを探してみたいです」

「六本木は外国人観光客も多いですが、せっかく日本に来たのに上辺だけを見て帰ってしまったら、もったいないですよね。そんなときに、街の達人がおすすめしてくれるこういうマップがあったら、すごくいいなと思いました」

「イベントや展覧会など、東京ミッドタウンや六本木ヒルズを訪れることはよくあるんですが、お目当ての場所以外は見ずに帰ってしまうことが多くて。今日こうして街を歩いたことで、点在していたスポット同士が結ばれて、その間にまだ知らなかった"六本木の街"が広がっていることを教えてもらいました。マップのデザインもすてきだし、機会があればぜひまた参加したいですね」

「みなさんと一緒に回ることで、一人ひとりの方の六本木にまつわる想いやストーリーを聞くことができました。それがとても楽しかったですし、また六本木の魅力を再発見することもできました。実はこのマップには、まだ更新の余地があると思っているんです。紹介されていない場所ももちろんありますし、セレクトするクリエイターによっても変わるでしょう。今日は、六本木という街と、マップというツールの奥深さを感じた一日でした。みなさんもぜひ、自分ならではの六本木の街の楽しみ方を見つけてください。今日はありがとうございました」(加藤)