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六本木未来会議アイデア実現プロジェクト#15 「六本木、旅する美術教室」第4回 アーティスト鈴木康広の民藝の見方【後編】

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まずは、大人が鑑賞している様子を見せることが大事。子どもと一緒に民藝展を楽しむ方法。

 民藝についてまったく知識のない子どもと一緒に民藝展を訪れる場合、大人はどのようにアシストしてあげればいいのでしょうか。

前村 子どもに何かを教えるというよりも、子どもが作品をどう捉えたのか、を知りたいですね。小さい子どもと大人は、視点の高さが違うので、見えている世界が全く違う。子どもに一眼レフを渡して自由に撮らせると、すごくおもしろい画が撮れるんです。全部下から目線ですし、パッと見たら何の変哲もない景色でも、よく話を聞いてみると「ここにこんなものがある」と言っていて、意外な場所にピントを合わせていたり。そうした「子ども目線でおもしろいと感じたこと」を集めてみたいですね。

「大人が見方を教える」と考えるのは、非常におこがましい気持ちになります。しかも、作品の評価に関しては、大人でも意見が分かれます。経験値の違う子どもに「これが良いよ」と伝えるのは逆に直観を押し潰す可能性がありますよね。子ども向けの体験型展示などを企画することもありますが、民藝展のようなものを「子どもはこう感じるだろう」と予測することは、なかなか難しいですね。

鈴木 子どもは「作品の見方」を考えないじゃないですか。でも、周りの大人が「どう見ているのか」をすごく観察していると思うんです。「これが大事なんだ」「こうやって見るのか」と、空気を読むのが非常にうまい。だから、大人が熱中して作品鑑賞している様子を、子どもに見せる機会があればいいんじゃないかと思うんですよね。そうすれば、理解はできなくても、「自分にはわからないけど、これはおもしろいものなんだ」と入り口を開くことができるかもしれません。

たとえば演劇のように、「作品鑑賞をしている人」を大人が演じ、それを観せてもいいかもしれません。作品のうんちくを話す人がいたり、意見が割れてケンカをしている人がいたり......。むしろ大人にとって鑑賞演劇はとてもヒントになるかもしれません。

「真似してつくってみる」は自然な行為。模倣は悪いことではない。

 普段どのようにして美術鑑賞を楽しんでいるのかという質問に対しても、鈴木さんならではの楽しみ方がありました。

鈴木 とにかく疲れないようにしています(笑)。展示作品全てをじっくり見て回ると、ヘトヘトになってしまうじゃないですか。だからまずは早足で全体を回って、ピンときた作品をじっくり眺めます。僕は学者ではないので、通り過ぎようとした僕に対して「ねえねえ」と呼びかけてきた作品だけを見ていますね。

そして、気に入った作品があると、「自分でつくってみたい」と思うことが多いですね。僕は子どもの頃、『キン肉マン』や『ドラゴンボール』などのアニメキャラクターが大好きで、見るだけでは満たされずに絵を描いていたんです。そうすると、身体的にも満足感を得られたんですよね。そうやって、気に入ったものをつくってみたくなるのは、ごく自然な行為だと思うんです。しかし一般的に、「模倣はよくない」と考えられがちです。欲しいと思ったものを買うのではなく、自分が扱える素材でつくってみる――そうした考えが世の中にもっと普及していけばいいと思いますね。

 作家の名前や制作時期など、作品の裏にあるストーリーを介さずに、作品そのものと向き合うことが求められる、民藝。作品に対峙した時、心に浮かぶことは人それぞれでしょう。"正解"を探すのではなく、自分の"心の声"に反応する民藝に触れることで、自分の直観を研ぎ澄ますことができるのかもしれません。

前編はこちら

information
「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」
会期:2018年11月2日(金)~2019年2月24日(日)
開館時間:10:00~19:00(入場は18:30まで)
休館日:火曜日(12月25日は開館)
年末年始(12月26日〜1月3日)
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
展覧会サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://www.2121designsight.jp
観覧料:一般1,100円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料

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