PROJECT REPORT インタビューで得たクリエイターのアイデアを、リアルな場で実現する「アイデア実現プロジェクト」

六本木未来会議アイデア実現プロジェクト#07「六本木未来大学」第17回「佐藤卓さん、 共創するクリエイティブディレクションって何ですか?」講義レポート【前編】

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リニューアルの仕掛け。

洋菓子『チロリアン』のリニューアルでは、記憶に残りづらいデザインを改善しようと、ある仕掛けを込めました。

「5人並んだ人の口を見てください。左から順に『チ』『ロ』『リ』『ア』『ン』と言っています。このことは、パッケージのどこにも書いていません。ただ、これに気づいた人は、黙っていることができるでしょうか?」

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会場に笑いが起き、佐藤さんのデザインの仕掛けに気づいたことがわかります。人から人へ伝わっていく仕掛けについて、佐藤さんは「なんのためにお菓子はあるのか」を考えたそうです。お菓子は生きるうえでの中心ではないけれど、時間を優雅に過ごしたり、気分転換になったりするもの。楽しんだり、おもしろがってもらえたらという、佐藤さんの遊び心がこめられたアウトプットになりました。

同じくパッケージのリニューアルを依頼されたお菓子の『カラムーチョ』。売れないのでリニューアルしたい、という厳しい依頼でした。

「売れているかどうかにかかわらず、商品は多くの人に記憶されています。その記憶を踏まえ、これまでのデザインの財産を生かすべきか殺すべきか、もしくは半分だけ生かすべきか、などといつも議論します。デザインの財産を引き継ぎながら、次の時代に落とし込んでいく。そうやってブランドは記憶に残っていく、と考えています。本件では、これまでのデザインを残す部分と、今後リニューアルするときにデザインを変えていく部分の整理をして、そのフォーマットを決めたうえで、デザインしました」

【クリエイティブディレクションのルール#2】
リニューアルでは、残す部分と新しくする部分を整理する

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物語はクライアントから出てくるもの。

デザインの財産を残したものの例として、北海道のお米『ゆめぴりか』が紹介されました。「米」という漢字は、八十八の手間がかかっているという意味が込められ、「八」+「十」+「八」で構成されています。そこにもう一手間かけているという思いを込め、以前デザインしたパッケージには「八十九」と入れました。そこで佐藤さんはさらに次の商品の際、パッケージの背景に「米」+「九」+「十」=「粋」という漢字を薄く配置。そして米袋の裏に「粋」の解説を書きました。

「デザインには物語が重要。クライントとやりとりしながら、彼らの思いや歴史や背景を込めた物語をつくり、デザインに込めていく。そうすると、パッケージとして物語とともに人に伝わっていく。単純なビジュアルよりも伝わる力が強いのです」

【クリエイティブディレクションのルール#3】
物語をデザインに込めていく

距離によって届くものが違うのが、パッケージデザイン。

「パッケージデザインは"遠く""近く""手に取る"の3段階に分けて考えます。商品というのは3メートル先からでも見える。近づくと細かいものが見えてきて、手に取ると裏の文字まで見える。パッケージは変わらなくても、人との距離によって届く情報が違うんです。距離、光の明るさ、高さなどによってどういうふうにパッケージが見えているのかを想定すると、デザインの可能性が次々と見えてきます」

その顕著な例として挙げたのが、『明治 おいしい牛乳』です。「遠く」からは商品を判別する青い帽子が見え、「近く」に寄ると牛乳を注いでいる写真が見え、「手に取る」と製品情報が読めます。

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「パッケージデザインは、見えない中身を外に想像させる、中身を"見える化"すること。いろんなパターンをつくりましたが、明治さんと一緒に議論をしているうちにデザインが浮かび上がってきました」

ここでも佐藤さんは「共創」を実践しています。

【クリエイティブディレクションのルール#4】
パッケージデザインは3段階に分けて考える

>後編は7月18日(水)公開予定です。

【information】

「佐藤卓さんの講義を復習してみよう」
六本木未来大学アフタークラス

【講師】横石崇(「TOKYO WORK DESIGN WEEK」発起人/オーガナイザー。&Co.Ltd代表取締役)
【開催日】2018年7月25日(水)
【時間】19:00〜21:00(予定)
【参加費】2,000円 
【受付】お申し込みはこちらから ※外部サイトへリンクします
【場所】東京ミッドタウン・デザインハブ(ミッドタウン・タワー5F/東京都港区赤坂9-7-1)


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