PROJECT REPORT インタビューで得たクリエイターのアイデアを、リアルな場で実現する「アイデア実現プロジェクト」

六本木未来会議アイデア実現プロジェクト#07 「六本木未来大学 by 水野学」 第1回「小西利行さん、伝わるアイデアって何ですか?」講義レポート

参加者に「どれを聞きたい?」と語りかけては、どんどん話を進めていく小西さん。このスタイルで授業を行う理由は、「インタラクティブにやると、顧客満足度が上がるから(笑)」。参加者のリクエストに応えてスライドを映しかえながら、授業は進行していきました。

世の中を動かすのは「ストーリー」です。

「よく『ストーリーが大切』って言いますよね。たとえば、ここに同じ味のお茶があって、ひとつは今つくったもの、もうひとつは400年の老舗がつくったもの。どっちを買いたいですかって言ったら......老舗のほうでしょう? それは『伝統』というストーリーがあるから。ストーリーがある方が欲しくなるわけです。でも、その『ストーリー』って、いったい何でしょう?」

小西さんいわく、ストーリーとは「時代の声」。世の中で流行ったすべての成功事例には必ずいい「ストーリー」があるといいます。

「たとえば、『高級ワインをあけたよ!』っていうツイートがあっても、今の時代とは逆行してるような感じがして、リツイートしたくはなりませんよね。でも、『久しぶりに実家の母を誘って高級ワインをあけたよ!』というツイートなら......? それは『いいね!』となる。それがストーリー、日本語でいうと『前提』になります。いま、世の中でその商品やサービスが『どういうストーリーなら受け入れられるか?』。高いワインじゃ売れなくても、お母さんと飲もうというキャンペーンがあれば売れるかもしれない。その『前提』を考えるのがクリエイティブディレクションの醍醐味です」

【クリエイティブディレクションのルール#4】
世の中や人を動かすためのストーリー=前提をつくる

実はアイデアを考える正しい順序がある。

「仕事がきた、じゃあアイデアを考えよう、ではダメ。まず、イメージを持つことから始めてください。その商品が売れているイメージや、流行っているイメージです。今はハイボールが売れているでしょう。あの裏には、若者が集まって乾杯している絵を描いて、どうやったらこの絵が完成するかを考えた人がいる。そもそも、以前は女子がウィスキーを飲むなんて考えられませんでした。そう、最初にやるべきなのは、アイデアを出すのではなく、解決している状況のイメージを持つことなんです」

重要なのは、「隠れたニーズ」を探すこと。ニーズを構築して、順序立てて考えるのがクリエイティブディレクターだと小西さん。

「一度、成功した絵を描いてみて、そこにどういうモノやコトが存在しているかを考えるんです。たとえば、そこで話し合われている言葉とか、そこにあるグラスとかですね。それをたくさんイメージして、キーワード化したりしながらオリジナルのアイデアに昇華させていく。ちょっと回り道ですが、そこをがんばって、何度も何度も同じ作業をして、新しいイメージをつくっていくんです。クリエイティブディレクションって、仕事としては面白いけれど、意外と泥臭いんですよ(笑)」

【クリエイティブディレクションのルール#5】
人の中にある「隠れニーズ」を探ることで、新しい視点を導く

「センスが悪い」は怠慢です。

「『センス』を天賦の才能のように言う人がいるけど、あれは間違い。センスは努力です」と小西さん。たとえば、料理やお店に詳しい人は、人より何十倍もお店に行って経験しています。そうやって人よりもがんばって、失敗を繰り返すことで、次第にダメなものを排除できるようになる。実は、センスとは不正解をたくさん知るということ。

「『正解』よりも『不正解』を積み重ねるほうが大切。そうすることでどんどん間違えることがなくなっていく。先輩や上司の『正解』に合わせる人がいますが、あれじゃセンスは磨けない。泥水を飲むほど苦労して、考えぬいて、失敗して、不正解を重ねていく。そうすると、自分らしい正解が導けるようになって、本当にセンスがいい人になれるんです。ちなみに、僕にはセンスはありません。博報堂入社後2年ほどで、2人の先輩から別々に『転職したほうがいい』と忠告されたくらい。そこから失敗を重ねて、そこそこのセンスを身につけました(笑)。そして今も仕事を続けています」

【クリエイティブディレクションのルール#6】
失敗を積み重ねて学ぶことで、再び間違いをしないようにする

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