PROJECT REPORT インタビューで得たクリエイターのアイデアを、リアルな場で実現する「アイデア実現プロジェクト」

六本木未来会議アイデア実現プロジェクト#07 「六本木未来大学 by 水野学」 第1回「小西利行さん、伝わるアイデアって何ですか?」講義レポート

update_2015.8.19 / photo_ tsukao / text&edit_kentaro inoue&yosuke iizuka

「六本木未来大学 by 水野学」第1回として2015年8月4日に行われた、コピーライター/クリエイティブディレクターの小西利行さんの授業。いわくクリエイティブディレクターとは「アイデアの導き方やそのディレクションはもちろん、デザインやコピーなどにも精通しつつ、ビジネスやマーケティングも理解し、テクノロジーや社会学や心理学までわかる人」。高度な仕事なだけに職業としてなれるかはわからない、だけどクリエイティブディレクションは学べる。そのエッセンスを凝縮してお届けします。

「伝える」から「伝わる」へ!

小西さんの授業スタイルは、パワーポイントで受講者が知りたいトピックをスライドで解説していくというもの。まずは「最大にして最短のクリエイティブディレクションの考え方」だという「『伝える』から『伝わる』へ!」からスタート。

「みなさんがここに来るまでにたくさんの広告を見たと思いますが、覚えているものってありますか? そんなにないですよね。それって、伝わってないってことなんです。『伝える』はエゴで、『伝わる』は共感。そして大切なのは『伝わるアイデア』を発見しようとする姿勢です。今は、新しく発見された『伝わるアイデア』が、みんなから共感され、広がる時代。クリエイティブディレクションの最初の関門は、伝わるように変換できるかどうか。そのためには、人の中にある喜怒哀楽、恐怖、興味、すべてを使ってください」

いくつかの事例のひとつが、あるアイドルグループのコンサートでの、送迎バス。行き先案内板には「YOU→このバス→アリーナ→行くよ!」と表示されています。

「本来はただ『アリーナ行き』って書いてあればいいんだけど、こうすると、"あの人"が言ってる感じがして『面白いじゃん、そのアイデア』ってなるでしょ。そのアイデアがSNSで広がっていくんです。感情が動いた瞬間に、世の中も動きます。こういう共通の感覚を引っ張ってくることが、クリエイティブディレクターの仕事。そのためのアイデアを考えること、そしてチームに考えてもらうことが、クリエイティブディレクションの、最初にして最後の話です」

【クリエイティブディレクションのルール#1】
人の心の中にある「感情」を使って、人を動かすアイデアを考える

カタイ仕事にこそクリエイティブでしょ。

「クリエイティブっていう言葉が流行っています。ところが実際は、ほとんどの人が自分に関係ないと思っているでしょう。でも、あらゆる仕事には『滞り』がありますよね。それを解決するにはブレイクスルーが必要で、ブレイクスルーを起こすにはアイデアが、アイデアにはクリエイティブが欠かせない。そう考えれば、誰にでもクリエイティブが必要という意味がわかってもらえると思います。日々の仕事をクリエイティブにしようとすると、資料づくりよりアイデアづくりが、会議より会話が、上司より社会が大事だとわかるはずです」

どんな仕事にもクリエイティブは欠かせない、その例として、小西さんが手がけたキャンペーンの紹介が。チラシに書かれているのは「日本全国、どんな期限切れクーポンでも! お好きなメニューが50円引き!」。

「これは普通のクーポン企画をクリエイティブで面白くした例。期限切れクーポンをなんとかしたいというニーズも解決してるし、実はクーポン企画なのにクーポンを発行していないんですよね。結構、褒められました。ほかにも、『マグマあんかけうどん発売」というエイプリルフールネタをハワイのキラウェア火山まで行って撮影したりして、ネットからバカじゃないのって賞賛いただいたり(笑)。もっと話題になる方向に進めたほうがいいんじゃないかって、一生懸命言うのがクリエイティブディレクター。こういう感覚が世の中に伝わるんだってわかったら、ブレイクスルーを起こすことをゴールに、常に行動し続ける。これがクリエイティブディレクションの、ひとつの方法論です」

【クリエイティブディレクションのルール#2】
どんな仕事でも絶対にブレイクスルーできるアイデアがあると信じる

1時間で100個アイデアを生む方法。

「クリエイティブディレクターの大きな役割は、アイデアを生みやすくすること。つまり、本人が直接アイデアを産まないこともある。まあ、そういう意味では何もしていないんですよね(笑)」と小西さん。最初にするべきなのは「共感」を探すこと。そのために、まず上のような図をイメージしてもらっているそうです。アイデアが生まれるのは自分の思いと相手の思いの間、つまり「共感(=共に感じる)」できる間にある。しかも「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」と言います。

そう考える小西さんが、アイデアを生むための具体的な方法があります。それが、ひとりで居酒屋にいるときに開発したという「居酒屋ミックス」という方法で、「商品の特性」と「ターゲットの好きなこと」をそれぞれ列挙して組み合わせるというもの。たとえば「『銭湯』に『30代女子』を呼ぶアイデアなら、「富士山の絵で壁ドン」「ケロリンのバケツでスフレケーキ」「美容液蛇口」などキャッチーなものが次々と浮かびます。

「アイデアを考えるのは大変っていうけど、こうしてゲームにように出して選ぶのは楽でしょう? 1000個あれば、当たりが1個はあるもの。これをあるホテルで働くスタッフの人たち向けのワークショップでやったとき、出てきたのは『面白かった』という感想。形にするのは難しいけれど、方法論をもてばいいんです。アイデアを生む楽しさを伝える、これもクリエイティブディレクションの、ひとつの結論です」

【クリエイティブディレクションのルール#3】
アイデアが生めない人にアイデアを生む方法と楽しさを伝える

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