PROJECT REPORT インタビューで得たクリエイターのアイデアを、リアルな場で実現する「アイデア実現プロジェクト」

六本木未来会議アイデア実現プロジェクト#07 「六本木未来大学」第13回「梅田悟司さん、 人が動きたくなる言葉って何ですか?」講義レポート【前編】

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"言葉にできる"とは、どういうことなのか。そして、人が共感して動きたくなる言葉とは何なのか。自分の言葉にするために必要なこと、言葉の伝わり方など、今回のテーマの答えに近づいていきます。

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人にはまず思考がある。その先に言葉がある。

「言葉にできる」力こそ、誰もが手にしたいと願っているもの。梅田さんは、その能力とは「考えていることを把握すること。そして、相手に伝わる言葉にする力」だと言います。スライド上には、前半のフレーズに①、後半のフレーズに②という数字が(上記画像)。

「言葉を勉強しましょうとなったとき、みなさんは①と②のどちらからやりますか? 少し言葉が苦手だなと感じている人のほとんどは、決まって②からやってしまうんですよね。実は②を重視するのは、なかなか危険です。それを僕は本の中でこういった表現をしています。『伝えたい思いがないのに、何を言葉にしようというのか?』と。伝わる言葉にする前に、伝えたい思いが何かを把握することが先。そのためにすべきは①なんです」

自分の伝えたい思いを把握すること、無意識を意思することがいかに重要か。その後も自身の著書から抜粋した、いくつもの言葉をスライドに映して伝えていく梅田さん。表現は違えど、その真意は底辺でつながっています。

「本では『言葉は思考の上澄みに過ぎない』という表現をしているのですが、これは言葉だけをトレーニングすることはできない、との意味でもあるんですね。あくまでも思考があって、その先に言葉がある。だから、まずは自分の思考を理解することが必要なんです。また、『「言葉にできない」ことは、「考えていない」のと同じである』という表現の仕方もしていますが、言葉につまったり、言おうと思っているのに口から出てこなかったりするのは、考え切れていないのと同じ。よく英語で"What to say"(何を言うか)と"How to say"(どのように言うか)という言い方をされますけど、そもそも何を言いたいかも決まっていないのに、どのように言うかを考えることはできないんです。言葉だけが上すべりする、口はうまいけど何を言っているかわからないという状況は、みなさんも経験がおありですよね? こうした場合、実際、言葉では話しているんですが、本当は何も考えられていないことがほとんどなんです」

【クリエイティブディレクションのルール#3】
自分が伝えたい思いが何かを把握する

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言葉の共感力は方向性と密度の高さで決まる。

そして、講義はいよいよ本題に突入していきます。"人が動きたくなる言葉"には、共感が絶対的に必要。梅田さん独自の方程式によると「言葉の共感力たるものは、方向性と密度で決まる」と言います。1つ目の方向性とは、"すべての前提になるコミュニケーションの考え方"のこと。通常、言葉は下記の左図のように対象があって、自分から相手に投げかけるものと考えがちです。けれど、「対象だけを考えると、先に進めない」と梅田さんは話します。そこで対象ではなく、言葉がどう伝わっていくのかという"内容と波及力"(下記右図)に置き換えると、一気に見え方が変わりました。

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「言葉は理解、納得、共感、自分ゴト化という流れで伝わっていきます。たとえば、自己紹介でたとえると......僕の場合なら、『梅田悟司です』と言うのが事実ですよね。これにより、まず相手に1つ"理解"が生まれます。そして、『コピーライターとして、企業さんの広告をつくっています。ありがたいことに、担当した広告はクライアントさんにご満足いただけています』。これは僕がコピーライターであることの『価値』に当たりますが、価値を伝えることで相手に"納得"が生まれるわけですね。この"理解"と"納得"までは、相手に伝わりやすい。でも、人を動かすためには、この先がとても重要なんです。『なぜコピーライターになろうと思ったかと言うと、僕は理系の出身なのですが、いいものが目の前で生まれているのに、みんなが知らないことを不思議に思っていて。つくり手の気持ちがわかる、コピーライターが必要だと思ったんです』。これが僕の思想が表れている部分で、相手に『なるほど』と共感を与えることができます。さらに、『"ものづくり日本"が、"コミュニケーション下手日本"になってしまっているので、もっとコミュニケーションがしっかりできる国にしたい。だから、僕はこうした講演活動にも積極的に参加し、多くの人がコミュニケーションについて正しく理解できるようにお話をさせていただいているんです』というのが、僕のビジョン。ここまで持ってくると、受け手の中で『そうか。私もそう思うから何か行動しよう』と自分ゴト化が起こり、はじめて人が動くわけです」

合意形成がコミュニケーションの核になる。

自己紹介の話で梅田さんが伝えたかったのは、日常、人はいかに「事実」と「価値」しか、話していないかということ。人を動かす言葉には理解や納得だけでなく、必ず「共感」と「ビジョン」が含まれており、結果として「自分ゴト化」してもらいやすくなります。

「相手のビジョンを聞いて自分ゴト化したとき、『そこまで思っているんだったら、僕も協力してあげるよ』、『私もそう思っていたから、いっしょに参加しよう』っていう行動が起こる。『君がそこまで言うんだったら』の"そこまで"に思想やビジョンが入っていなければ、本当の意味での共感はなかなか得られませんよね。企画の提案時もそう。『僕はこの企画がいいと思います。どうですか?』では、事実と価値くらいしか入っていないですよね。なぜ、それがいいと思っているのか、どういうビジョンを持って企画にたどり着いたのかを説明しないと、共感して自分ゴト化してもらうことはできません」

ここで本講義のテーマでもある、「人が動きたくなる言葉」の正体の1つが見えてきました。

「人が動きたくなる言葉とは、ビジョンを纏った言葉、と結論づけすることもできます。こう思っている、こういうビジョンを描いているっていうことに、私もそう思う、となってハッピーエンドを迎える。その"合意形成"が、コミュニケーションの核になるんですね。最近の言葉で言うと、「Shared Decision Making」。いっしょにビジョンをつくっていくという意味で、「Shared Vision Making」と言い換えることもできると思います。言葉にするのは、最後でいいんです。まずは、自分はどういう思想があって、どういうビジョンを持って生きているのか、頭の中にあるものを掘り起こしていく。それを続けることで、不思議とビジョンを纏った言葉を生み出せるようになるんです。また、"自らの分身となる言葉"を生み出せるということも重要。僕が本の中で『考え抜かれた言葉は、人々を導く旗になる』という言葉を書いているのですが、その本質は考え抜いてビジョンを生み出すことなんです」

【クリエイティブディレクションのルール#4】
人が動きたくなる言葉は思想やビジョンを纏った言葉

後編はこちら

【information】

六本木未来会議アイデア実現プロジェクト#07
六本木未来大学アフタークラス
【講師】横石崇(「TOKYO WORK DESIGN WEEK」発起人/オーガナイザー。&Co.Ltd代表取締役)
【開催日】2017年8月21日(月)
【時間】19:00〜21:00(予定)
【参加費】2,000円 
【受付】お申し込みはこちらから ※外部サイトへリンクします
【場所】東京ミッドタウン・デザインハブ(ミッドタウン・タワー5F/東京都港区赤坂9-7-1)

六本木未来大学 第14回 「佐渡島庸平さん、ファンづくりのために必要なコミュニティって何ですか?」
【講師】佐渡島庸平(編集者/株式会社コルク代表取締役社長)
【開催日】2017年8月30日(水)
【時間】19:00〜21:00
【参加費】2,000円
【受付】事前申込制 ※応募締切:8月22日(火)17:00まで
【場所】東京ミッドタウンカンファレンス(ミッドタウン・タワー4F/東京都港区赤坂9-7-1)
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