PROJECT REPORT インタビューで得たクリエイターのアイデアを、リアルな場で実現する「アイデア実現プロジェクト」

六本木未来会議アイデア実現プロジェクト#07 「六本木未来大学」第12回「田川欣哉さん、テクノロジーを使った クリエイティブ組織の作り方って何ですか?」講義レポート【前編】

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創業時からの歩みを交えつつ、Takramが目指す「ハイブリッドな人材」の育成についてお話ししてくださった田川さん。ここからは、各々のパフォーマンスを最大化するチームの組み方、そしてノウハウ共有の話に入っていきます。

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"私たち"という感覚を持てる3人チームで、失敗も成功もシェア。

Takramの概要や歴史などをひと通り紹介し終えると、参加者にどんな話を聞きたいかを問う田川さん。準備した7つの目次から参加者に挙手をしてもらい、講義内容の順番やボリュームを決めていきます。そして、挙手がもっとも多かった「プロジェクトの運営」の話へ。プロジェクトを遂行する際は、3人1組でチームを組む「スリーマンセル」がTakramの基本。チームは固定ではなく、プロジェクトごとにアサインすると言います。

「Takramには部門がなく、プロジェクトマネージャーやプロデューサーという存在もいません。進行管理や営業だけを担当する人はいないので、すべてを全員でやるというのが僕らのスタイル。組織としては、会社全体の判断をするディレクター陣がいて、その下にリード、エキスパート、メンバー、インターンと呼ばれるスタッフがいます。プロジェクトごとに3人ひと組のチームを組んで仕事をしています」

田川さんいわく、3人という人数は「"私たち"という概念を生む最小ユニット」。チームで仕事をする上で、三人称の導入には独特の価値があると話します。

「僕はひとりの人間の可能性を無限に信じていますが、それでも1人でできる仕事のボリュームは限られています。じゃあ、2人はどうかと言ったら、2人組は関係性が固定化されやすい特徴があります。教える人・教えられる人、指示する人・指示される人の関係が固定化すると、コミュニケーションは一方的になる。そうすると、チームとしての学びの総量が低くなります。一方で、チームが3人になると、"私たち"という感覚が生まれる。同時に"私とあなたたち"、"私とあなたと彼"というように、チームの中のコミュニケーションが多様化します。これが長期的にはチームのパフォーマンスや、学びに大きく影響することになります」

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社内で知識やスキルを移行して、くさりのように繋いでいく。

Takramがチームでプロジェクトを進めるのには、もう1つ大きな理由があります。それは、スタッフ同士の間で自然にスキルやノウハウが共有されていく「ナレッジチェーン」の構造を作り出したいからです。Takramが複数の視点を持ったハイブリッド人材を育てることができているのには、この「ナレッジチェーン」の考え方が大きく作用しています。

「例えば、ソフトウェアエンジニアリングの知識が必要なプロジェクトだとしたら、その分野に長けた人がリードとなり、その下には同じくその分野に詳しいAさん、もう1人は詳しくないBさんを配置します。そうすることで、Aさんの知識が自然とBさんに共有されます。実際の例を挙げると、ソフトウェアエンジニアとして入社したあるスタッフは、プロダクトデザインのわかるリードのもとで、一眼レフカメラのレンズのプロダクトを担当し、1年ほどの間に急速にプロダクトデザインの基本をマスターしました。このように、毎回違う人同士でチームを組み、仕事をすればするほど、社内に知識やノウハウが浸透するという仕掛けを「ナレッジチェーン」と呼んでいます」

Takramではチームで1つのプロジェクトを進める期間は、平均3カ月。うち、最初の1カ月はプロジェクトに関するリサーチ期間にしているそうです。

「最初の1カ月は、クライアントに徹底的にインタビューをしつつ、外部の有識者にインタビューしたり、ユーザー観察をしたり、関連分野を座学的に調べたり、とプロジェクトに関わることを猛勉強する期間にしています。そうすることで1カ月後には、クライアントとまっとうな会話ができるところまで到達することを目指します。そうやって年間に何本ものプロジェクトを担当すると、プロジェクトごとに新しい分野の知識を得ることになり。それを継続していくことで、複数の専門性が備わっていくんです」

【クリエイティブディレクションのルール#3】
チーム内でスキルを連鎖させる「ナレッジチェーン」をつくる

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ストレスを抑えながら、貢献や学びを実感できるアサイン方法。

「ナレッジチェーン」をつくることには、実はもうひとつの理由があります。不得意な分野のプロジェクトにアサインされたスタッフは、もう1つ別のプロジェクトで得意分野にアサインされるそう。Takramでは、日常的に1人2つのプロジェクトに携わるため、常に得意領域、不得意領域の両方を半々で行うことになります。

「不得意な仕事に、100%の時間を使うと人間はやっぱり疲れちゃうんですよね。結果が出ないことが長期間続くと辛さになる。だからといって、結果の出る仕事ばかりをしていると成長がなく、逆に自分が停滞している感覚に陥ります。そこで僕らがやっているのが、不得意領域50%、得意領域50%というアサインの仕方。不得意領域の仕事は役割としては生徒側になるのでストレスも大きいけれど、新しいスキルが獲得できてチームメイトへの感謝も生まれます。逆に得意分野の仕事はストレスも小さく、プロとして自分が貢献していると感じられる。学習曲線はゆるやかですが、人に教える役割を担うことで別の確度から自分の成長が促されます」

目指すのはフルスタックデザイナー。

50/50で仕事をするスタイルを続けることで、常に学び続ける「ラーニング・オーガニゼーション」を自然とかなえることにもなります。結果、「その人の希少性や分人性が上がっていく」と話す田川さん。

「すべてを自分で作ることのできるエンジニアのことを"そんな人いないよ"という意味を込めて、"ユニコーン"と呼びます。つまり、ユニコーンとはフルスタックエンジニアのこと。そういう意味でいうと、ナレッジチェーンや50%アサインを通して僕らが目指しているのは、どんな分野でも自分ですべてを考えられる"フルスタックデザイナー"ですね」

【クリエイティブディレクションのルール#4】
与えるプロジェクトは得意領域50%+不得意領域50%

後編はこちら

【information】

六本木未来会議アイデア実現プロジェクト#07
六本木未来大学アフタークラス
【講師】横石崇(「TOKYO WORK DESIGN WEEK」発起人/オーガナイザー。&Co.Ltd代表取締役)
【開催日】2017年6月26日(月)
【時間】19:00〜21:00
【参加費】2,000円 
【受付】お申し込みはこちらから ※外部サイトへリンクします
【場所】東京ミッドタウン・デザインハブ(ミッドタウン・タワー5F/東京都港区赤坂9-7-1)

六本木未来大学 第13回「梅田悟司さん、人が動きたくなる言葉って何ですか?」
【講師】梅田悟司(コピーライター/コンセプター)
【開催日】2017年7月18日(月)
【時間】19:00〜21:00
【参加費】2,000円
【受付】事前申込制 ※応募締切:7月11日(火)17:00まで
【場所】東京ミッドタウンカンファレンス(ミッドタウン・タワー4F/東京都港区赤坂9-7-1)
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