PROJECT REPORT インタビューで得たクリエイターのアイデアを、リアルな場で実現する「アイデア実現プロジェクト」

六本木未来会議アイデア実現プロジェクト#14 「六本木未来恋愛映画祭 by 菱川勢一」PROJEGT REPORT

update_2016.12.20 / photo_tomoki hirokawa & rewrite / text_yosuke iizuka

恋愛映画が、価値観を変える。六本木で映画を観て、恋をする。

2016年12月15日(木)、映像作家・菱川勢一さん発案による映画上映イベント「六本木未来恋愛映画祭」をTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催しました。このプロジェクトは、少子化問題をデザインで解決するために、六本木を「健康的に恋ができる街」にしていくというもの。六本木未来会議では初の試みとなった"映画祭"についてのインタビューと合わせて、イベント当日の様子をお届けします。

恋愛とは、物語そのもの。

監督を務めたCM「森の木琴」がカンヌライオンズ三冠受賞、短編映画「すず」の監督、脚本を手がけるなど、これまでTVCM、テレビ番組、ミュージックビデオ、映画製作に携わってきた菱川さん。「昔から自分で映画をつくるとしたら、絶対に恋愛映画がいいって言っていたんです」と言う菱川さんに、まずは恋愛映画そのものの魅力からうかがいました。

「極端な言い方ですが、基本的にすべての映画には恋愛が絡むんです。物語を語るうえで普遍的ですごくベーシックなテーマで、恋愛を描くと、人間のポジティブな部分も、闇の部分も、両方出てくる。たとえば、大好きな人のことを最後には殺してしまう、なんていう物語も存在します。ホレたハレただけではない、語り切れないほどの物語性がそこにあって、だから恋愛映画が好きなんです。物語イコール恋愛といっても過言ではない、そう思っています」

「そもそも恋愛って、状況としてはすごく不安定ですよね。好きな人に嫌いって言っちゃうような、裏腹な言葉で愛情を表現することもあるくらい。にもかかわらず、そういうデリケートなムードを、観ている側は共感できるんです。逆につくり手である僕らからすれば、自分の体験をすっと入れられるということ。もしも僕が外科医の映画をつくろうとしたら徹底的にリサーチしないといけないけれど、恋愛と言われた瞬間に自分の体験を忍ばせることができるんです。僕の初恋、ひどかったなぁ、みたいな(笑)。だから、そもそも映画の普遍的なテーマの中に、恋愛があると思うんですよね」

「六本木未来恋愛映画祭」は、映画館で開催されるイベント。その点について、菱川さんは「映画館への行きと帰り」にポイントがあると言います。

「ネットやDVDで映画を観るのもひとつの楽しみですが、家だと、食事をしながら、スマホをいじりながら観るでしょう。それって、雑誌を読む感覚に近くて。一方で、映画館で観るのは小説をじっくり読む感覚。読後感もあって、その後ゆっくりとコーヒーを飲んで語りたくなるような魅力がある。今回のイベントは、待ち合わせをして映画館に行き、恋愛映画を観てきゅんきゅんした帰りに、食事にでもなんでも、誰かを誘ってくださいね、というイメージ。きっと恋愛映画を観たあとって、間違いなく彼氏は優しくなる気がするんです(笑)」

恋愛映画は、価値観を多様にしてくれる。

ここ数年、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」など、従来は男性的なイメージのあったジャンルの映画での女性人気が話題となっていましたが、最近はその"揺り戻し"がきているのではないか、と菱川さん。少年と少女の出会いを描いたアニメーション映画「君の名は。」が記録的なヒットとなり、テレビでも恋をテーマにしたドラマが人気を呼ぶなど、"恋愛もの"の人気が高まっています。

「大作映画の公開が続いていた影響もあるのかもしれませんが、最近は"素朴ないい映画をじっくり観たい"という気分がある気がするんです。今回の企画も、小規模で密度の高いイベントをイメージしています。街の片隅にちょっといい喫茶店を見つけちゃったというくらいの感覚で楽しんでもらえるような。ただ、この企画は、少子高齢化問題への対策として、クールジャパンのシンポジウムとかで基調講演できちゃうくらい重要な内容なんですよ。未婚率が高まっている理由のひとつは、価値観のあり方が幼稚だからだと思うんですよね。定型的な恋愛や結婚を想定して、コスパが悪いからと避けている。でも、本当は、恋愛っていろんなケースがあるじゃないですか。その価値観の多様性を、恋愛映画の力を借りて考え直す機会になればいいなと思っています」

INTERVIEW