PROJECT REPORT インタビューで得たクリエイターのアイデアを、リアルな場で実現する「アイデア実現プロジェクト」

六本木未来会議 アイデア実現プロジェクト#10「六本木未来会議BOOKキャラバン by 服部滋樹」【後編】

ここからは、当日開催されたワークショップの様子をご紹介。内容は、服部さんが講師をつとめて「移動式本棚の使い方をみんなで考える」というもの。集まったのは十数名、ここからたくさんのアイデアが生まれました。

「直感読みブックマーカー」で、本を使ったアイスブレイク。

「今日は、さまざまなクリエイターが推薦してくれた本をシェアしながら、みんなで『未来の会議』をしたいと思います。まずは本棚から気になる本を1冊、選んできてください。どんな本でもいいですよ」

服部さんのそんな言葉で、ワークショップがスタート。参加者は、学生から社会人までさまざまな人たち、中には写生をしに来て偶然参加することになった高校生の姿も。みなさんが選んだのは、『弓と禅』『パワーズオブテン』、絵本『スイミー』からマンガ『人間ども集まれ!』など、ジャンルレスな本たち。

「まずはこれから『直感読みブックマーカー』(考案者は陸奥賢さん)というワークショップを行います。本を使ったちょっとしたお遊びみたいなものです。テーマを決めたら、好きな本をパッと開いて、偶然開いたページの一節をテーマに沿って解釈するというもの。これ、図書館のない街に本を集めるときに、1冊ずつ本を持ち寄ってもらってやっているんですよ」

まずはお手本をということで、服部さんが実演。テーマは「人生とは」、スヌーピーの本『A peanuts book featuring Snoopy』、を頭上に掲げて、何やら念じはじめました。そして開いたページに書かれた一節を読み上げると、こんな結果に。

「人生とは、『隣の猫とディナーを分け合ってくれると素敵だなと思うんだけど』。......なんとなくわかりました? 直感で開いたページの一節がどうテーマを表しているかを、みんなで考えておしゃべりしていきます。この場合は、『人生は分け合いながら生きていくもの』かな。ちょっと強引すぎる?(笑)」

「この姿勢、読書というよりもヨガみたいやね(笑)」と服部さん。実際に「直感読みブックマーカー」を全員で行っていきます。最初のテーマは「愛とは何か」。「愛とは『雲を数えなさい。雲に名前をつけなさい』」「愛とは『どこの馬の骨?』」など、本の内容によって意味深に聞こえるものも飛び出しました。中でも笑いを誘ったのは「愛とは『性生活がまったく欠如した結婚』」という回答、これには服部さんも「ホンマに書いてあった?(笑)」と驚いた様子。

移動式本棚の使い方を考えることは、未来を考えること。

「直感読みブックマーカー」のあとは、ディスカッションの時間。服部さんも混ざりながら、3つののグループに分かれて、移動式本棚の活用方法を考えていきました。発表は、もちろん移動式本棚に付けられた黒板を使って。およそ30分間のディスカッションで生まれたのは、次のようなアイデア。

「本棚の横に作家が座って、移動しながら黒板に物語を書いていく」
「本棚を回覧板のように巡回して読んだ人のログを残していく」
「本来本棚がない駅や体育館などに置いてその施設の個性を表現する」

さらにその後も、服部さんと全員が話す中で、21_21 DESIGN SIGHTなど美術館を巡回する、本にポケットを付けて感想を蓄積していくなど、具体的なプランが次々と生まれていきました。

「今日はいろいろな話が出ましたが、やっぱり『街に出ていく』というのがメインの使い方になりそうやね。たとえば東京ミッドタウンに入っているショップの店長が選んだ本を並べてもいいかもしれない。それぞれのお店が自分たちを表す本を並べたら、それが東京ミッドタウンの個性を表すことになりますから。本って、本来は個人のものだったけれど、実はマルチメディアなんだって思います。東日本大震災の被災地でも、本が人をつなげる、本で想いを共有するということが今も起こっているんです。この移動式本棚は、本の新しい使い方を生み出すいい機会。未来をみんなでつくるっていうのは、こういうことから始まるのかもしれませんね」

【information】

六本木未来会議 アイデア実現プロジェクト#10
「六本木未来会議BOOKキャラバン by 服部滋樹」


grafを率いる服部滋樹さんがデザインした移動式本棚が、東京ミッドタウン・デザインハブ内などに登場。六本木未来会議人気連載『デザイン&アートの本棚』に登場している約50冊の本を、どなたでも自由に手にとって読むことができます。

【開催日時】
①2016年6月27日(月)~7月1日(金)11:00~18:00
②2016年7月2日(土)13:00~18:00

【会場】
①東京ミッドタウン・デザインハブ内 武蔵野美術大学 デザインラウンジ
②東京ミッドタウン コートヤード(雨天時はプラザB1Fとなります)

【料金】無料

【定員】なし

【主催】ウェブマガジン 六本木未来会議
http://6mirai.tokyo-midtown.com/ >

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服部滋樹(はっとり・しげき)
1970年生まれ、大阪府出身。graf代表、クリエイティブディレクター、デザイナー。美大で彫刻を学んだ後、インテリアショップ、デザイン会社勤務を経て、1998年にインテリアショップで出会った友人たちとgrafを立ち上げる。建築、インテリアなどに関わるデザインや、ブランディングディレクションなどを手がけ、近年では地域再生などの社会活動にもその能力を発揮している。京都造形芸術大学芸術学部情報デザイン学科教授。