89 丸山敬太(ファッションデザイナー)前編

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夜の六本木にかつての雰囲気が戻ってきている!?

 夜中にひとりで街を歩くのが好きで、深夜まで仕事をしているときなどにちょっと外に出て、青山から六本木のほうへ散歩しながら街を眺めたりするんです。そんなときに感じるのは、東京は雑多でスピード感がある半面、どこかほっとするような静けさや落ち着きもあるということ。僕が生まれも育ちも東京だからそう感じるのかもしれないけれど、世界のいろんな都市を見てもそれって東京だけの感覚のような気がするんです。六本木もまさにそうで、昼と夜で様子が全然違うのもおもしろい。昼間は勤め人がすごく多いけど、夜になるとどっと人が遊びに来たりして、二面性があっていいですよね。

 六本木って原宿とか浅草みたいに、街の名前自体が海外でも認知されているじゃないですか。ひと昔前のイメージかもしれないけど、東京のナイトライフといえば六本木、みたいにね。でも最近、それが少し戻ってきている気がするんです。こないだ深夜にかき氷の専門店で食べていたら、クラブをはしごしているんだろうなって感じの15人くらいのグループが入ってきたんです。そのうち半分は外国人で、女の子の半分は帰国子女かなっていうくらいのテンションで、日本語と英語のちゃんぽんで盛り上がっている。ワンショルダーの服も、最近の日本の女の子らしからぬ健康的な雰囲気で、男の子たちもいかにもイケイケ。みんなで楽しそうにかき氷を食べて、「次行こう!」って出ていったのを見たとき、うわー、懐かしい! って思ったんです(笑)。こういう空気がまた六本木に戻ってきてるんだなって、なんだか嬉しくなりました。

街はいろんなものと出会わせてくれる場所。

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サンタバーバラ発祥のアイスクリーム店で、1985年に西麻布に日本第1号店を開店。バブル期は深夜にも行列ができて話題となった。現在は東京を中心に全国に店舗がある。

 六本木はやっぱり今来ても、なんとなくドキドキしますよ。街自体にエネルギーがちゃんとあるのがいい。六本木に限らない話だけど、あえて言うなら、チェーン店が多いのはいただけない点。チェーン店が多くなるほど、世界中の街が似てきてつまんなくなってしまうから。とはいえチェーン店をなくすのは難しいだろうから、多少雰囲気を変えたりして店が街に合わせるようなことをしてほしい。その街ならではの、そこにしかないものがフォーカスされると、みんなすぐに足を運ぶじゃないですか。西麻布にホブソンズがオープンしたとき、アイスクリームを食べるために「なんでこんなに?」っていうくらい行列ができたんだけど、当時に比べたら今はもっと簡単に情報を手に入れられる時代だから。

 今はインスタグラムみたいなツールがあるから、インスタジェニックな場所に出かけることが増えているわけですよね。興味のきっかけはなんでもいいと思うのだけど、ただそこで写真を撮ってアップして終わるのではなく、経験することが大事なんですよね。情報がなかったら行かないような街や店に実際に足を踏み入れて、そこでいろんなものに出会って経験してみることがとても大事。やっぱり街っていうのは、いろんなものと出会わせてくれる場所だから、そういうふうにアンテナを立てていると楽しいんですよね。

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丸山敬太 / ファッションデザイナー
東京生まれ、文化服装学園卒。1994年にコレクションデビュー。世界の舞台でコレクションを発表。 『晴れの日に着る服・心を満たす服』をコンセプトに展開するブランド、KEITAMARUYAMA デザイナー。 その他、ミュージシャン、俳優、舞台の衣装制作を始め、 ライセンスや各方面のブランドコラボレーション、 イベントのディレクションなど、幅広い分野で活動。近年では日本航空(機内・地上・さくらラウンジ)の制服を手がける。2014年にはブランド 20 周年を迎え、『丸山景観』を出版。2016年9月、青山本店をコンセプトストア『丸山邸』としてリニューアルオープン。 丸山の選択眼により新旧問わずセレクトされた商品群が並び 衣食住に纏わる時々のテーマにより随時イベントを催している。
公式HP http://www.keitamaruyama.com/