82 泉麻人(コラムニスト)後編

int_82_main04.jpg

未来は過去とつながっている。

東京時層地図int_82_sub04.PNG

iPad版(左)航空写真+地図 (右)文明開化期int_82_sub05.PNG

iPad版(左)段彩陰影 (右)航空写真+地図int_82_sub06_2.png

iPhone版 高度成長前夜

明治から現代までの時間を軸に、東京の変遷を知ることができる地図アプリ「東京時層地図」。表示できる地図は、7つの時期(文明開化期、明治のおわり、関東地震直前、昭和戦前期、高度成長前夜、バブル期、現代)に航空写真や地形等を加えた19種類。古地図はGPS情報と対応しているので、現代との比較も簡単にできる。めまぐるしく変化を遂げていった東京の姿をこのアプリを持って歩けば、じっくり見つめ直すことができる。※東京時層地図は、App Store からダウンロードできる。販売元: Japan Map Center, Inc.


 いい街にはいい道が必ずありますが、僕にとっていい道とは渋い道で、例えばタクシーに乗って外苑西通りで渋滞しているときに、運転手さんが「いい道あるんですよ」って言いながら車では走りづらそうな裏道に入ってくれるときがあるでしょう。そういうニュアンスですね。そしてその裏道的なもの、時には横道に逸れる方がいいねというセンスもまた、日本人にはあると思うんです。

いい道といえば、渋谷は面白いと思います。坂の多い東京の中でも渋谷は地形的に起伏が激しく、スクランブル交差点を谷底としてそこから放射状にどこを歩いても凸凹地形なので裏道、横道にそれやすく、結果として渋谷の文化を濃くしているのはこの地形が関係していると思います。
渋谷駅は今、大規模なリニューアルを図っていますが、未来の渋谷駅はどんな姿になっているんでしょう。

そもそも東京の未来を思う時、僕は地下街の発展が気になります。新宿駅の地下街や東京駅の八重洲地下街なんかを見ていても、すごい広さでしょう。幼い頃に観ていた「ウルトラマン」に地底人が登場するんですけど、その当時は地下空間で過ごすなんてSFの世界でしたが、今はこうして現実のものになって、多くの文化を生み出しています。六本木の営みもまた、これからは高層ビルを建てるといった、上に積み上げていくだけでなく、地下もまた大きな可能性になっていくのでしょうね。

何れにしても未来を考える上で、過去とのつながりはやっぱり大切だと思います。身近なところでいうと、古い地図を持ちながら道を歩くとそれを実感します。東京時層地図というアプリがおすすめで、これは散歩しながらその場所の明治から昭和期の古地図を見ることできるんです。自宅の周辺を始め、それこそ六本木の今と昔を見比べるだけでも新しい六本木をきっと発見できます。ぜひ試して見てください。道に迷いながらね(笑)。



取材を終えて......
快適で便利な暮らしをする中で、どんどん無駄は省かれ、効率化することばかりに意識は向きがちですが、泉さんの街歩きの考え方を伺う中で、一見無駄に見えるものにこそ、大きな発見や人生のヒントが詰まっていることを改めて気づかされました。普段道を歩くときも、時には路地裏に迷い込んだり、立ち止まったりしながら、そこから見える景色を楽しむこともしたいと思います。つまり最短ルートを歩くことだけが、ゴールじゃないということ。 どうせなら、中身の充実したゴールを目指したいものです。(edit_nanae_mizushima)

前編はこちら

泉麻人
1956年東京生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、東京ニュース通信社に入社。『週刊TVガイド』『ビデオコレクション』の編集者を経てフリーに。テレビ番組から映画、音楽まで懐かしい昭和の文化に精通し、様々なメディアにコラムを発表する一方、テレビにも出演し、コメンテーター、司会などを務める。著書に『昭和40年代ファン手帳』『還暦シェアハウス』『大東京23区散歩』『東京いい道、しぶい道』など多数。