80 蔦谷好位置(音楽プロデューサー/作曲家)後編

蔦谷好位置(音楽プロデューサー/作曲家)

輝いているものを追い続けて。

 ぼく自身も音楽プロデューサーとして、たしかなスキルと知識があったうえで、ひらめきや爆発力を持ち続けたいと思っています。オールジャンルの音楽をやるので、膨大なスキルと知識がないといけない。フルオーケストラも、ジャズのビッグバンドの譜面も書けなきゃいけない。パンクロックのスリーピースバンドのアレンジもやれば、EDMもヒップホップもつくれなくちゃいけない。得意な領域だけを扱うのかたくさんのジャンルで活動するのかは人それぞれですが、ぼくの場合はやったことがないことばかりをやりたいから、常に勉強し続けることが必要です。いつかは演歌もつくってみたいし、海外のミュージシャンとも一緒に活動したいと思いますね。

 音楽のプロとして、音楽をつかって街をどんなふうにおもしろくできるのか?たとえば、「六本木の音」をひとつつくって、駅で電車が来たとき、信号が青になったとき、六本木の建物の扉が開いたときに、鳴らすというのはおもしろいと思いますね。レストランでお皿を置いたときにその音が鳴ったり、あるいはトイレの水を流す音に使ったりしてもいいかもしれません。その音を使っていろんなアーティストが派生した曲をつくって、街中でライブをやって、それを中継して世界中の人に届けて...。そういうことができるのであれば、ぜひぼくがその六本木の音制作に携わりたいです(笑)。

 とにかくつまらないことが苦手で、常に楽しいことをしていたい。映画でも音楽でもスポーツでも、輝いているものが好きで、憧れがあるんだと思います。いま話した「六本木の音」のアイデアもただの妄想ですけど、思いついたことはどんどん言っていったほうがいい。そうすると、周りが助けてくれるんです。

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取材を終えて......
常に新しいものを追い続けていたい──。蔦谷さんのこの姿勢は、ARといった新しいテクノロジーや、SXSW、コーチェラなどの世界の最前線の人やものが集まるイベントに関するトピックが次々出てくる話のなかでも感じることができた。「音楽に知名度は関係ない」という考えも、まさに蔦谷さん自身が証明してきたことである。ビジョンと行動が一貫し、人や作品をフラットにとらえる気持ちのよい人だった。インタビューでは真剣に言葉を選びながら答えてくれたのと同時に、ところどころユーモアのある話もあり、取材は笑いの絶えない時間となった。

蔦谷好位置
音楽プロデューサー、作曲家。1976年、北海道札幌市生まれ。2000年にCANNABISとしてワーナーミュージックジャパンよりデビューし、2004年よりagehaspringsに加入。YUKI、Superfly、ゆず、エレファントカシマシ、木村カエラ、Chara、JUJU、絢香、back numberなど、多くのアーティストへ楽曲提供やプロデュース、アレンジを行う。近年では『昆虫物語 みつばちハッチ〜勇気のメロディ〜』『大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇』『ピーチガール』などの映画音楽も多数手掛け、大ヒットを記録した映画『SING/シング』では吹き替え版の音楽プロデューサーを務めた。@KoichiTsutaya