69 えぐちりか(アートディレクター / アーティスト)後編

えぐちりか(アートディレクター / アーティスト)

たぶんアラフォーはみんな、だいたい同じことを考えてる。

 他にもファミリー層向けのファッションの仕事なら、こんな家族のあり方もOKなんだ。育児教材のデザインなら、「育児教材ってこんな感じ」じゃなくて、それがあることで手にする人の気持ちが上がって、赤ちゃんと遊ぶ時間が輝くようなものを目指す。

 やっぱり人の気持ちを前向きにしたり、楽しくさせてくれるのは、すてきなモノやうれしいこと、一つひとつ。広告にしろ作品にしろ、自分がつくるものは人を楽しませたり、日々のカンフル剤になるようなものにしたい。もちろん簡単なことではないのですが、そういうことのために時間を使いたいと思うようになりました。

 つい最近も子どもが入院して、あらためて感じたんです。全部がうまくいってると欲ばっかり出て、ついあれもしたいこれもしたいって思ってしまうけど、人生ってそんなにうまくいくことばかりじゃない。だからこそ、自分がつくるものが少しでもだれかの元気につながるものになるといいなと。たぶん世のアラフォーはみんな、生き方やライフスタイルに興味があるだろうし、だいたい同じようなことを考えてるんじゃないかなあ(笑)。

人が感動するものは、昔からそんなに変わっていない。

スーベニアフロムトーキョー
国立新美術館内にあるギャラリーを併設したミュージアムショップ。漫画からアートブック、工芸品から若手デザイナーの作品まで、知名度やジャンルにとらわれず、東京的視点で新しいデザインやアートをセレクト・販売している。

 よく「広告の未来がどうなるか」って聞かれるんですけど、そんなのわかっていたらつまらないですよね? きっと六本木の未来だって、そうだと思うんです。

 今はブログやSNSなど、一般の人もある意味でメディアになる時代、どんどん想像もつかないようなメディアも登場するだろうし、広告との出会い方や出会う場所も変わり、個人個人にカスタマイズされていくでしょう。でも出会い方は変われど、人が感動することって、昔からそんなに変わっていないと思うんです。

 だからこそ、人間ってどういうものなんだろうとか、普遍的なところにも目を向けていく。私が興味があるのは、目の前にいる人たち。だから、あんまり未来のことは考えていないし、きっとこうなるでしょ、みたいなことから逆算して何かをつくることもありません。

 未来なんて考えるくらいなら、今面白いことを広げていくほうが大切。結局、未来って今の蓄積でしかないですから。

前編はこちら

取材を終えて......
この日のメイン写真の撮影は、えぐちさん作の絵本『パンのおうさま』を販売している「スーベニアフロムトーキョー」で。インタビュー時間が短く「すごい巻きですみません......」と言いながら語ってくれたお話に、インタビューに同席した編集部のアラフォーたちは、深くうなずいたのでした。(edit_kentaro inoue)

えぐちりか
アートディレクター / アーティスト
電通にてアートディレクターとして働く傍ら、アーティストとして国内外で作品を発表。絵本『パンのおうさま』が小学館より発売。広告、アート、プロダクトなど様々な分野で活動中。最近の仕事に、「PEACH JOHN」2016CMグラフィック、グローバルブランド「KOE」CI及びデザインブランディング、ベネッセこどもチャレンジbaby教材デザイン、ソフトバンク「PANTONE6」CMグラフィック、「TBS6チェン!」、日本とNYで開催された「ドコモダケアート展」、PARCO、Laforet、AKB48カレンダー、「優香グラビア&ボディー」装丁、CHARA、木村カエラ等のアートワークなど。イギリスD&AD金賞、スパイクスアジア金賞銀賞、グッドデザイン賞、キッズデザイン賞、アドフェストブロンズ、インターナショナルアンディーアワード銀賞、JAGDA新人賞、ひとつぼ展グランプリ、岡本太郎現代芸術大賞優秀賞、街の本屋が選んだ絵本大賞3位、LIBRO絵本大賞4位、他受賞多数。
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