六本木未来会議5周年特別インタビュー『昼も、夜も、六本木で会いましょう。』

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街のポテンシャルを引き出して醸成する未来。

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檜町公園
江戸時代には名園として知られていた毛利家の麻布下屋敷庭園跡。公園の広さは約1.4ヘクタールで大きな池を囲む回遊式庭園になっている。東京ミッドタウンの東に位置し、遊具のある芝生エリアなどもある。 http://www.tokyo-midtown.com/jp/facilities/green/hinoki-cho-park/#detail

柴田 視点を街に広げて考えると、今の六本木の魅力のひとつって、もともとの古き良き六本木と今の六本木が、いい感じにシンクロしているところだと思います。六本木は街そのものが古い街なので、もともと土地に力があるし、背景にはこれまでの歴史が培ってきた多様な階層がある。だからそこに、「今」みんなが望んでいたものが生まれたら、それは街の奥深くまで浸透していける可能性がある。  

佐藤 ちゃんと裏道もありますしね。ヒルズやミッドタウン、国立新美術館といった大きな施設やエリアがありながら、その間には昔ながらの裏道がまだちゃんとある。ちょっとごちゃごちゃしている裏道って、すごく面白いし魅力的。裏道っていうのも、充分街のポテンシャルだと思います。

柴田 六本木には、みんなが気づいていないポテンシャルが、まだまだたくさんあるんです。檜町公園だって、私の友人や知人の中にも、知らない人がいっぱいいますから。

佐藤 檜町公園のあの広さが六本木のまん中にあるというのは、なかなか想像つかないよね。僕はね、六本木の未来を考えるとき、ここからさらに何かを「加える」というより、もともと持っているポテンシャルをいかに「引き出す」かが大切だと思うんです。

柴田 昔のデザインや街づくりの考え方って、何でも新しく作り直し、新しく付け足すという感じがあったけれど、それだとせっかく培ってきた過去とも上手く繋がらないし、相乗効果みたいなものも生まれない。一方的に「作り切られたもの」には、結局みんな乗り切れないと言うか、気持ち良く参加できないですよね。

佐藤 そうですね。完全に作り込んじゃうと、余地がなくなるので、それを受け取る側だったり使う側が「自分化」できなくなっちゃうんですよね。だから、デザインでも僕はいつも「物足りないくらいがちょうどいい」と言っているんです。物足りないくらいの余地があると、そこで自由な遊びが生まれたりする。

柴田 さきほどの「やりすぎない」というのと同じですよね。

佐藤 一番居心地のいい街は、人が自然に集まることで醸成してきた街。解剖学者の養老孟司さんはよく、頭の中で考え作られた社会で人々が生きることを「脳化社会」と言っていますが、脳で作った街というのは、やっぱり居心地が悪い。そうは言っても、大きなエリア開発の場合は、脳で作らないといけないわけですが、そこに人の身体感覚が入り込む余地があると、作った後に街が醸成していくプロセスを楽しむことができる。これからの六本木はまさに、そのプロセスを楽しむ段階なんじゃないでしょうか。