六本木未来会議5周年特別インタビュー『昼も、夜も、六本木で会いましょう。』

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キーワードは、"ほどほど"、"曖昧"、"やりすぎない"。

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意心帰
北海道生まれ、イタリア在住の彫刻家、安田侃氏による彫刻作品。触れることができるパブリックアートで、大きな卵のようなフォルムは子どもたちにも人気。素材は白大理石。場所は東京ミッドタウン地下1階。トップライトからは自然光も入る。

柴田 振り返ると、いろんなことが上手くいきましたけど、六本木には映画館や森美術館のある六本木ヒルズがあって、国立新美術館があって、その間を行き交う人たちが増えたことで、街の持つ「気」みたいなものも変わりましたよね。

佐藤 以前は夕方になると、六本木の交差点の周りに危険な香りのする人たちが随分出ていたけれど、それも減ってきた気がします。アートとデザインが、街を浄化する役割を担ってきた。展覧会を観に来た人たちやベビーカーを押したお母さんたちが交差点を行き交うようになると、悪いことをしようとしている人にとっては、居心地が悪くなるし、特に子どもというのは自然そのものだから、子どもがいることで生まれる自然観とか、醸し出される純粋性とか、そういうものがだんだん街を浄化してきている気がします。

柴田 私、ミッドタウンの地下でよくお茶を飲んでいるんですけど、吹き抜けの下の安田侃さんのパブリックアート『意心帰』が、お昼時なんて、もう、遊具状態。10人くらいの子どもが取り囲み、代わる代わる中に入っては楽しそうに遊んでいます。

佐藤 すばらしい! 『意心帰』のある場所は室内だけど、外っぽい雰囲気もあるし、ガランとしていて広いから気持ちいいですよね。

柴田 私ね、本当に、ミッドタウンはお世辞じゃなくて、好きなんです。なんででしょうね。みんな自分らしいおしゃれをしているし、来ている人それぞれが勝手に、自分なりの付き合い方をしている感じがいいんですよね。観光客はお買い物に来ていて、ママは芝生にランチをしに、学生はミュージアムに。まるで鏡みたいに、来る人を写してどんな色にでもなるというか......。

佐藤 わかります。そういう意味では、ミッドタウンはある意味で一番東京的な場所かもしれません。洗練されているけれど、すごく気取っているわけでもない。押しつけがましくもない。

柴田 確かに、東京の、いい意味での"クールさ"があるから好きなのかもしれません。ベッチャリしてないし、やりすぎてない。

佐藤「やりすぎない」って重要です。ほどほどがいいんです。それを「曖昧」だっていう人もいますが、曖昧って悪いことじゃないと思うんです。日本文化の大切なキーワードですから。曖昧だから、人をアフォードする。こうしろ、ああしろじゃなくて、いろんな形でその場所の意味を人に提供できるわけです。ほどほど、曖昧、やりすぎないっていうのは、これからの都市開発のものすごく重要なキーワードなんじゃないかと僕は思っています。