36 佐藤オオキ(デザイナー)

佐藤オオキ(デザイナー)

秋の恒例イベント「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH」。 2013年、会期前半の目玉のひとつとして開催された「Salone in Roppongi」では、今年のミラノサローネでもっとも話題を集めた日本人デザイナー、nendoによるインスタレーションが行われました。nendoを率いる佐藤オオキさんが語る、ミラノサローネへの想い、六本木とミラノの共通点、そして Salone in Roppongi のこれからとは?

update_2013.11.6 / photo_hiroshi kiyonaga & ryumon kagioka / text_kentaro inoue

この街と歩調を合わせるように成長してきた。

「XXIc.-21世紀人」展

「XXIc.-21世紀人」展
2008年、21_21 DESIGN SIGHTのオープン1周年の節目に開催。三宅一生氏が初めてディレクターを務め、「未来の人間像」をテーマに、イサム・ノグチやnendoなど、国内外11組のクリエイターが展示を行った。

Coca-Cola Bottleware

Coca-Cola Bottleware
nendoがデザインを手がけた、コカ・コーラのガラスボトルをリサイクルしたテーブルウェアのコレクション。デザインタイド トーキョー 2012で、「ボトルウェア」ができる過程のインスタレーションとともに発表された。
©Coca-Cola

 六本木ヒルズがオープンして10周年、僕たちがnendoというデザイン事務所を設立したのが今から11年前の2002年ですから、ちょうどこの街が開発されていくのと歩調を合わせながら、自分たちも成長してきたという感覚があります。

 2008年には、21_21 DESIGN SIGHTでの「XXIc.-21世紀人」展で、三宅一生さんとお仕事させていただいたのもたいへん貴重な体験でしたし、昨年のデザインタイドでは「Coca-Cola Bottleware」のインスタレーションをやらせていただいたり。六本木では、毎年何かしらのイベントに参加させてもらっていて、なんとなくターニングポイントにもなっているのかなと感じています。

 六本木って、大型の商業施設や美術館もあるし、夜の街でもある。デザインやアートを含めて、とにかくいろいろな要素がごちゃごちゃに混ざっているイメージ。一番情報が集まってくるし、一番活気もあるし、何か新しいものを発信していこうというパワーもすごい。僕は勝手に、日本一混沌としている街なんじゃないかと思っています。

ルーティンワークを大事にする。

 仕事での関わりは深いんですが、プライベートでは正直、あまり六本木に来ることはないんです。休みの日は家でじっとしていることが多くて、出歩いたりすることも全然ない。出張が多いので、東京では極力移動をしたくないというのもあって(笑)。

 基本的に毎日、同じことをやっているのが好きなんです。nendoは建築もするし、インテリアやプロダクト、グラフィックと、ジャンルを問わずに活動しています。まさに仕事がイレギュラーの連続なので、ふだんの生活ではできるだけルーティンワークを大事にしたいんです。

 だから、お昼ご飯も同じそば屋で同じメニューを食べて、そのあと同じスタバで同じコーヒーを飲んで......。ルーティン化できる要素は、すべてそうしています。けっして無理をしているわけではなくて、一番楽だから。たとえば制服があったら、毎日着る服を選ばなくていいでしょう。それと同じ感覚なんです。

六本木はミラノの街と似ている?

 そういう意味では、自分にとって六本木という街はイレギュラー、変化が多すぎるのかもしれません。nendoはミラノにもオフィスがあって、毎月出張で行くんですが、ミラノで受ける刺激に近いのかなと思うこともありますね。

 パリにはパリ、ロンドンにはロンドン、東京には東京。街にはいろんな性格がありますが、六本木には、ミラノが持っているギラギラした感じというか、底抜けに明るい雰囲気があるんです。そういう空気の中で最新のデザインやトレンドが生み出されて、発信されていく場所。さらに、デザインやアートを媒介にして、人と人とがコミュニケーションを取るという状況ができあがっている気がします。

 ミラノは今、2015年の万博に向けて開発が進んでいて、大きなビルがどんどん建っています。行くたびに街の表情がガチャガチャ変化していくというところも、どこか六本木っぽい。海外のクライアントやお客さんが東京に来ると、やっぱり六本木に行きたがる人って多いんです。きっと国際的でありながら、その土地ならではの特徴や変化もあって、何かを発信し続けていくエネルギーにあふれた街だからなんでしょうね。