04 小山薫堂 (放送作家/脚本家)

小山薫堂

放送作家としてこれまで数多くのヒット番組を世に送り出してきた小山薫堂さんは、いわば企画のプロフェッショナル。その小山さんの六本木未来計画は今すぐにでも実現させたい、遊び心に満ちたものでした。学生時代は六本木に住み、この街には20年以上通っているバーもあるという小山さん。ワインも好きだけれど、カメラも好き。パブリックアートを撮る手にあるのは自慢のライカです。

update_2012.6.6 / photo_taro hirano / text_tami okano / edit_rhino

アートの実がなる6本の木。

 やっぱり、六本木というからには6本の木が必要な気がするんですね。6カ所に6本、木があって、アートの実がなっている。クリスマスツリーは季節限定だから見に来ますけど、6本のアートの木は六本木という場所限定で、リンゴみたいに実る果実の中には、それぞれ異なるテーマのアートが入っている。

 実を穫るまでは、その中にどんなアートが入っているか分からない。折り畳んだ絵かもしれないし、彫刻のようなものが入っているかもしれないし、QRコードが入っていて、ウェブにアクセスすると、そこにデジタル作品があるかもしれない。もしかしたら、次の目的地を示す地図が入っているかもしれない。どんな物語を描くかはアーティストの自由で、とにかくそれが、木にぶら下がっているということが面白いような気がするのですが、どうでしょう?

実の中にあるアートは種となって日本中に。

 果物がなぜ甘くなるかというと、食べてもらいたいから。なぜ食べてもらいたいかというと、食べて種を運んでもらいたいから。つまり、いかに遠くまで自分の命を運び、つないでいくかということですよね。

 実の中にあるアートはつまり、種なんです。日本中、世界中から来た人によって収穫され、持ち帰られることで運ばれ、その地でまた新しい何かを生む。例えば、島根の人が六本木に来て、6本の中のちょっと気になる実をもいでみました。そしたら、その中にアートディレクターの水野学さんがつくった作品が入っていました。持って帰ってはじめて分かる仕組みが隠されていて、島根に帰って広げてみたら、六本木とつながる思いがけない展開が始まる。そんな仕掛けがつくれたらおもしろくなると思います。

1人では完成しない、リアルSNS。

 六本木をデザインとアートの街にする、この「6本の木計画」のポイントは、「1人では完成しない」ということです。いろんな人が関わり、来た人たち自身がつながって、もっと面白くしていく。SNS的なものかもしれません。

 有名な作家の作品を数多く並べれば人は集まるかもしれないけど、それによってびっくりするようなもの、そんなに新しいものが生まれる気はしないんですね。アートを展示している街なら沢山あるじゃないですか。ニューヨークにもパブリックアートは点在しているし、ただ並べても他と同じですから、せっかく六本木をアートで変えるなら、挑戦的な感じがないと。

 そういう意味でも新しいチャレンジとして「リアルSNS」のようにアートが人や場所とつながるものとして機能していけば、六本木でやることの意味が出てくる気がします。