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2018年04月16日

【展覧会レポート】21_21 DESIGN SIGHT企画展「写真都市展 −ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち−」

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現在、21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2では、企画展「写真都市展 −ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち−」が開催されています。本展では、20世紀を代表する写真家のウィリアム・クラインさんの作品のほか、斬新な眼差しで21世紀の都市と人間を見つめる日本やアジアの写真家が紹介されています。

『移動する表現者』『アナーキーな知覚の撹乱者』『マッカーサーと原爆の時代の大詩人』など、様々な異名を持つクラインさんは、写真表現を中心にジャンルを越境する活動を続け、ダイナミックで生々しい都市と人間のイメージを展開してきました。

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Photo:吉村昌也

展示室へと続く階段を降りた先で我々を迎えてくれるのは、そんなクラインさんの作品たちです。奥に見えるのは「Atom Bomb Sky,New York」。暗がりの中に聳えるエンパイア・ステート・ビルディングからは、何かが迫り来る迫力が感じられますね。

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Photo:吉村昌也

この空間では、クラインさんが撮影した200点あまりの写真などを組み合わせたマルチ・プロジェクションが、壁のあちらこちらにあるスクリーンに映し出されています。ニューヨークやローマ、モスクワ、東京の景色が目まぐるしく登場する本作をクラインさんとともに手掛けたのは、映像作家のTAKCOMさんです。

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須藤絢乃さんによる、実在する行方不明の少女たちに自らが扮した「幻影 Gespenster」は、キヤノン写真新世紀2014年グランプリを受賞した作品です。行方不明という宙ぶらりんな消え方をした少女たちですが、捜索願のポスターの情報をもとに、自身が彼女らになりきって写真を撮ることにより、その失われた時間や、特殊な存在を斬新に表現しました。タイトルにもある「Gespenster」とは、ドイツ語で"霊"や"幻"の意味です。

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遠くから見ると、ただの海辺の写真に見える「I am in You」ですが、近づいてよく見てみると、実は海の水の部分のみを焼き消して作られた作品だということが分かります。

作者である多和田有希さんは、人間の精神的な治癒をテーマに、自ら撮影した写真の表面を削り取ったり、燃やしたりする手法で都市や群衆の独特な霊的ヴィジョンを生み出し続けてきました。東日本大震災以来、海という存在が急に恐怖の対象となった多和田さんは、母親と共に海の水を焼き消す作業を繰り返し、本作を生み出しました。

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台湾を代表する写真家である沈昭良さんの「STAGE」は、台湾の冠婚葬祭の場で歌やダンスなどを披露する演芸団・台湾綜芸団の移動式ステージを撮影したもの。アスファルトの道路や、田園風景に突如煌びやかなステージが登場する様は、少し奇妙で、それでいてどこか惹きつけられるものがあります。

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写真家である石川直樹さんと、サウンドアーティストである森永泰宏のコラボレーション・ユニットによる「極地都市」は、耳でも楽しむことができる作品。地球という一つの惑星の各都市の騒めきを、 "惑星の光と声"をテーマに写真とフィールドレコーディングの音像で堪能できます。

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北極で撮られた犬の写真の前に立つと、どこからともなく賑やかに吠え交わす犬の声が聞こえ、違う写真の前に立つと、今度はその写真に合った音が聞こえてきました。視覚だけではなく、聴覚も刺激されることにより、写真の中の物語がさらにリアルなものになります。

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ほかにも、我々の目に直接訴えかけてくる作品がいくつもありました。これまで数ある都市を撮影し続けたクラインさんですが、彼はこのワークについて「カメラを持って都市に出ると、あらゆるものが私を興奮させる」と語っています。その時の"今"を映した写真を見て、あなた自身の"今"や、頭の中に浮かんできた"これから"を考えてみてはいかがでしょうか?



編集部 髙橋





information
写真都市展 −ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち−
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
会期:2018年2月23日(金)~6月10日(日)
開館時間:10:00~18:00
六本木アートナイト特別開館時間:5月26日(土)10:00~23:30
観覧料:一般1,100円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://www.2121designsight.jp/program/new_planet_photo_city/

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