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2018年04月09日

【展覧会レポート】国立新美術館「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」

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現在、国立新美術館では「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」が開催されています。本展では実業家であるエミール・ゲオルク・ビュールレが一人で集めたドラクロワ、ドガ、マネ、ルノワール、ファン・ゴッホ、ゴーギャン、モネ、セザンヌ、マティス、ピカソなど誰もが知る作家たちの作品を見ることができます。

心の拠りどころとして美術作品を収集し続けたビュールレですが、彼の死後にスイス国外にコレクションがまとまって公開されたのは、別棟を除いて過去に数回のみでした。また、2020年からは全コレクションがビュールレ財団からチューリヒ美術館に移管されるため、今回がビュールレ・コレクションの全体像を堪能できる最後の機会です。

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可愛らしい佇まいで我々を迎えてくれたのは、エドガー・ドガによる「14歳の小さな踊り子」。モデルは、パリ・モンマルトルの貧しい家の出身で、オペラ座のバレエダンサーであったマリー・ヴァン・ゴーテム。ドガは出来上がった彫刻の一部に彩色を施し、リネンのコルセット、モスリンのチュチュを着せ、練習時に使用されるトウシューズと靴下を履かせていました。今にも踊りだしそうなほど写実性の高い本作は、当時批評家たちの間で大きな話題を呼びました。

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フィンセント・ファン・ゴッホの「自画像」は、誰もが一度は目にしたことがあるはず。オランダ、ベルギーを経てパリに移り住んだゴッホは、その2年目に本作を手掛けました。彼はパリにいる間に30点もの自画像を描いたとされていますが、それらは色彩に関する新たな実験の場でもありました。

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(C)Foundation E.G. Bührle Collection, Zurich (Switzerland)
Photo: SIK-ISEA, Zurich (J.-P. Kuhn)

同じくファン・ゴッホの「日没を背に種まく人」は、鮮やかながらも趣のある太陽が印象的な作品です。1888年にパリを離れ、南米のアルルに向かったゴッホですが、本作はジャン=フランソワ・ミレーの「種をまく人」から着想を得ています。花を咲かせたリンゴの木は、絵を分断するように伸びていますが、この構図の取り方は、日本の浮世絵から借用したものなのだとか。

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ゴッホと共にアルルで2カ月の月日を共に過ごしたのは、ポール・ゴーギャンです。写真の右に映っている「贈りもの」には、ゴーギャンが最晩年の時を過ごしたマルキーズ諸島のヒヴァ・オア島で出会った二人の女性の姿が描かれています。腰にパレオを巻いた彼女らの肌は異なる色調で描かれており、ゴーギャンの色彩表現への興味がうかがえます。

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(C)Foundation E.G. Buehrle Collection、Zurich (Switzerland)
Photo:SIK-ISEA、Zurich (J.-P. Kuhn)

ピエール=オーギュスト・ルノワールによる「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)」は、本展の目玉とも言える作品です。カーン・ダンヴェール夫妻の長女イレーヌが、空色の青いドレスを身にまとい、深い緑色の茂みに腰を下ろしています。描かれた当時8歳であった彼女の幼さの残る頬や唇が可愛らしいですね。ビュールレは、画家兼画商のヴェルナー・フォイツを介して、この作品をイレーヌ本人から購入しています。

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200点以上もの睡蓮の池を描いたクロード・モネの「睡蓮の池、緑の反映」は、高さ2メートル、幅4メートルほどもある大作。スイス国外では初のお披露目となる本作は、なんと撮影もOK。貴重なこの機会に、ぜひ写真に収めてみてはいかがでしょうか?

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今回紹介した以外にも、美術の教科書で見たことがあるような有名な名前や作品がずらり。出品作品のおよそ半分が日本初公開ということで、次にいつお目にかかれるかは分かりません。もしかしたらその絵を見るのが一生に一度になるかもしれないこの機会に、「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」に足を運んでみてはいかがでしょうか?



編集部 髙橋





information
至上の印象派展 ビュールレ・コレクション
会場:国立新美術館 企画展示室1E
会期:2018年2月14日(水)~5月7日(月)
開館時間:10:00~18:00
※毎週金・土曜日、4月28日~5月6日は20:00まで
休館日:火曜日 ※5月1日(火)は除く
観覧料:一般1,600円、大学生1,200円、高校生800円、中学生以下無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
http://www.buehrle2018.jp/

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