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2017年11月10日

【展覧会レポート】21_21 DESIGN SIGHT企画展「野生展:飼いならされない感覚と思考」

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21_21 DESIGN SIGHTのギャラリー1、2では、2017年10月20日(金)から2018年2月4日(日)まで、「野生展:飼いならされない感覚と思考」を開催中。

展覧会ディレクターを務めたのは、思想家で人類学者の中沢新一さん。中沢さんは、理性や合理性ばかりが求められる現代においても、全ての人間の内に潜む、まだ飼いならされていない感覚、思考を「野生」と語ります。

本展では、現代の表現者たちの持つ「野生」の魅力に着目し、様々な作品や資料を通して、その力を発動させるための、言わば「野生の発見方法」を紐解いています。

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メイン展示エリアである地下一階スペースへと続く階段をおりると、真っ先に迎えてくるのは大きな丸い石。これは「丸石神」を模した作品です。急流によって次第にこのようなかたちへと自然に造形された丸石は、神聖なものが宿っていると信じられ、縄文時代から神として祀られてきました。野生による粋や上品さを象徴している丸石は、まるで生命の始まりの尊さを訴えかけているようです。

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青木美歌「Between You and I」
撮影:淺川 敏

野生が持つ生命の共存と循環をガラスで表現したのが、青木美歌さんによる「あなたと私の間に」と「Between You and I」です。生きるために生物が摂取する食べ物の循環、そしてそれらを分解する微生物や菌類という食物連鎖を、ガラスの透明さ、液体や固体へと変化する性質を用いて美しく描写しています。ガラステーブルの上下へと伸びゆくガラス細工の細やかさに、命の繫がりの緻密さを感じることができます。

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aircord「Finding Perceptions」
撮影:淺川 敏

奥には、クリエイティブスタジオaircordが手掛けた作品「Finding Perceptions」が。光の線や球が飛び回り、そして繋がり合う映像のデザインは、まるで帝釈天の宮殿を飾る網(因陀羅網)のようです。部屋のカメラが来場者を発見すると、その姿が映像の中に反映され、来場者は作品の一部となります。見に来たはずの作品の一部となって組み込まれる感覚は、ここでしか味わうことのできない不思議な体験でした。

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ギャラリー2のスペースには、見慣れたキャラクター、ハローキティとケロちゃんコロちゃんが。

どうして? と思うかもしれませんが、実はこれらの「かわいい」も野生の表現のひとつ。意外ですよね。日本人は縄文時代から現代に至るまで、自然と人間の中間にいる存在を「かわいい」造詣にする特異な才能を発揮してきた人々なのだそうです。

特にカエルは、陸と水中を、生と死(冬眠)を行き来する魔術的な生き物として取りあげられ、京都の栂尾山 高山寺に伝わる「鳥獣人物戯画」でもその姿が幾度も登場しています。動物を擬人化したこの作品は、昔の日本人による、自然と文化の懸け橋と言っても過言ではないでしょう。

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こちらは農業を営みながらアーティストとしても活躍しているステファニー・クエールさんの彫刻「Old Boar and Orangutan」。こちらも「かわいい」化身のひとつです。

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また、渡邊拓也さんは「道具と作ることのインスタレーション -case1-」によって、道具と自分との心理的距離感を測ろうと試みました。現代の我々にとって身近な道具を、縄文土器に見られる手びねりの手法を用いて粘土で再現し、道具が本来持つ用途を無くしたのです。ここでは人間の身体、または精神の延長として発展してきた道具の、原点を見ることができます。

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田島征三「獣の遠吠え」
撮影:淺川 敏

展示作品の中でも特に目を引くのが、田島征三さんによる「獣の遠吠え」。キャンバス上にある一つ一つの長細い物体は、モクレンの木から落ちてきた未成熟の実です。田島さんはそれらをからからに乾かし、人工的に植え付け、力強く吠える獣の声を描きました。実がなっていた頃の姿をそのまま閉じ込め、密集させたこの作品には、見る者を圧倒させる勢いがありました。

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この他にも、オセアニアやアフリカ大陸から集めた仮面やボディマスク、実際に触れることのできる黒田征太郎さんの描いてきたイラスト「無題」など、バラエティ豊かな、それでいて野生を感じる作品が並ぶ本展覧会。

自分の深淵に潜む「野生」を、あなたも取り戻しに行ってみませんか?





information
「野生展:飼いならされない感覚と思考」
会場:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1、2
会期:10月20日(金)~2018年2月4日(日)
休館日:火曜日、年末年始(12月26日~1月3日)
時間:10:00~19:00(最終入館 18:30)
入場料:一般1,100円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料

◇国立新美術館「安藤忠雄展―挑戦―」(2017年9月27日~12月18日)の展覧会チケット(半券可)のご提示で、通常の入場料が100円相互割引(他の割引との併用不可。1枚につき1名、1回のみ)。

公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):http://www.2121designsight.jp/program/wild/

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